フリーロケーションとは、倉庫内の空いている場所に商品を自由に保管する在庫管理の手法です。従来の固定ロケーション方式のように、商品ごとに決められた場所へ保管するのではなく、柔軟に保管場所を決められる点が特徴です。
しかし、ピッキング作業の複雑化やシステム導入の必要性など、デメリットも存在します。自社の状況に合わせて、メリットとデメリットを比較検討し、最適な在庫管理方法を選択することが重要です。
当記事では、フリーロケーションのメリット・デメリットなどについて分かりやすく解説します。
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物流における倉庫保管とは?倉庫での保管方法と保管効率を上げるコツ
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2024.10.29
目次
物流業務における倉庫保管とは?
倉庫保管とは、商品をそれぞれの特性に合わせた方法と環境で管理することを指し、顧客のもとに届く前の商品の品質・価値を維持する役割も担います。たとえば、食品やサプリメントは、腐敗や劣化を防ぐために保管に適した温度・湿度を保つ必要があります。
また、需要に応じて顧客にスムーズに発送できるよう、商品の在庫数を管理することも目的の1つです。そのため、倉庫保管のプロセスを効率化することには、在庫管理を通してコスト削減や業務効率化を図るというメリットも期待できます。
商品を適切に倉庫で保管する重要性
自宅の部屋やオフィスではなく、倉庫での商品の保管が適している理由として、下記の3つが挙げられます。
- 商品の品質保持
適切な保管環境は商品の種類ごとに異なり、温度・湿度管理のほか、防錆や防湿などの対策も求められる場合もあります。特に保管が長期間に及ぶ場合は劣化が進みやすくなることから、質の良い商品を届けるには適切な環境下で保管する必要があります。 - 盗難や破損等の防止
倉庫のセキュリティ対策が甘かったり、倉庫内が整理されていなかったりすると、盗難や破損、紛失が起きやすくなります。高額商品であるほどリスクが高くなるため注意が必要です。 - 在庫状況の把握
倉庫管理には在庫状況の把握も含まれます。倉庫内の在庫数量を正しく把握すれば、余剰在庫や在庫切れの発生を防止することが可能です。
倉庫保管のロケーション管理の種類
ロケーション管理とは、各商品の置き場所を管理することです。ロケーションをしっかりと割り振って管理することで、荷物が見つからないという事態を防げます。
ロケーション管理の具体的な方法は以下の通りです。
固定ロケーション | 商品ごとに保管場所を定める方法です。シンプルな管理方法のため、どこに何があるのかを覚えやすくなります。ただし「スペースが空いていても他の商品は置けない」「置き場所がなくなれば別の場所を探す必要がある」など、柔軟性に欠ける点がデメリットです。 |
フリーロケーション | 倉庫内の空いている場所に商品を保管する方法です。商品ごとに置き場所を区切らないためスペースを有効活用でき、商品の入れ替えなどによるレイアウト変更も必要ありません。しかし、どこに何があるのか分かりにくくなるため、システムでの管理が推奨されます。 |
ダブルトランザクション | ストックエリアにはフリーロケーションを、ピッキングエリアには固定ロケーションを採用する方法です。ストックエリアのスペースを無駄なく使用し、ピッキングエリアを商品ごとに整理することで作業効率を上げられます。ただし、入庫・出庫で管理方法が違うので、システムの導入が推奨されます。 |
倉庫保管で使用する保管什器の種類
倉庫で商品を保管する際は、保管什器を取り入れるのもおすすめです。保管什器にはさまざまな種類があるため、下記を参考にそれぞれの特徴や最適な利用シーンを押さえておきましょう。
積層ラック | 積層棚の上に床を設置して中二階を作るラックです。空間を有効活用できるため、限られたスペースで多くの商品を保管したい場合に向いています。可動式の階段が付いたタイプや、昇降機が付いたタイプがあります。 |
高層ラック | 小さい区切りの棚が複数設けられた本棚のようなラックです。バラやケースのままで保管でき、家電や小物などの大量保管に向いています。高所まで上がるための昇降装置として「ハイピックランナー」が装備されています。 |
パレットラック | 商品をパレットに乗せたまま収納できるラックです。一棚あたりの積載荷重が500kgを超えるため、重量物をフォークリフトで運搬し、そのまま収納できるのが魅力です。商品の大きさに合わせて棚の高さを調整できる自由度の高さもあります。 |
移動ラック | 床に設置したレール上を移動させて使用するラックです。手動式・電動式・ハンドル式があります。商品を密集させて保管しても、必要に応じてラックを移動させて通路を確保できるため、スペースを有効活用できます。 |
プッシュバッグラック | 押し込み格納方式のラックです。棚に商品を入れると、すでに保管されていた商品が奥に押し込まれます。手前の商品を取り出すと、自重で後ろの商品が手前に移動します。 |
【商品別】適切な倉庫保管の方法
食品・医薬品 | 温度・湿度管理と衛生管理がポイントになります。冷蔵倉庫や、入出庫時の温度上昇を防ぐ特殊な設備を利用するほか、手洗いルールの徹底やエアシャワーの設置なども求められます。 |
機械部品 | サビなどの腐食が発生しやすいため、防湿・防錆対策が必須です。乾燥剤や防錆剤、防湿シートを利用したり、梱包時の素材に注意したりすることで、商品の耐久性を損なわずに保管できます。 |
電子部品 | 静電気によるダメージを受けないよう防止策が必要です。防電設備の設置や、梱包・搬送時の静電気を防ぐ工夫を取り入れるようにしましょう。 |
貴重品・高額品 | 温度・湿度管理のほか、盗難や紛失を防止する対策も求められます。出入り口のセキュリティ強化や監視カメラはもちろん、内部犯罪を防ぐ入出庫システムの整備も有効です。 |
化粧品 | 紫外線や湿気による変色・劣化が起こりやすいため、直射日光が当たらない環境下で適切な温度と湿度を保つ必要があります。紫外線を遮断するシートやフィルムなどを使用しましょう。 |
衣料品 | 素材によって汚れやゴミが付着しやすいため、生地に合わせた管理が必須です。汚れやゴミが付かないよう保管場所の清掃を徹底し、包装・搬入時に混入しないよう注意しましょう。 |
倉庫の保管効率を上げるコツ
倉庫保管の方法を見直すことで、より倉庫業務を行いやすい環境を実現できます。倉庫の保管効率を上げるコツは、以下の3つが挙げられます。
保管スペースの見直し | 倉庫内の限られたスペースを有効活用するには、スペースロスをなくすことが重要です。床の「平面ロス」、空間の「高さロス」、荷物同士の隙間の「山欠けロス」を確認し、保管設備を導入するなどしてレイアウトを再考しましょう。 |
動線の見直し | 入荷から出荷までの作業がスムーズに進むよう、最短距離の動線を設けましょう。一般的には、入庫口から奥へ向かってI字型にルートを作るのが理想と言われています。入庫口と出庫口が同じ方向に設置されている場合は、U字型ルートを採用するとよいでしょう。 |
商品の保管場所の見直し | 出荷頻度が高い商品は手前に、出荷頻度が低い商品は奥や高所に配置すると効率アップを狙えます。また、流通加工・梱包の作業スペースとの位置関係も考慮するとさらに効率的です。 |
まとめ
倉庫管理は、発送前の商品の品質を保持する手法の1つです。ロケーション管理や保管什器を駆使し、倉庫内のスペースを有効利用しながら、作業効率の上がる保管方法を考えることが重要です。また、商品の特性に適切な環境も整備しましょう。
ロジモプロでは自社倉庫を運営し、お客様の大切な商品を適切に保管した上で、商品を発送いたします。「商品の保管スペースがない」「出荷作業に追われてコア業務に専念できない」とお悩みの場合は、ぜひ一度ご相談ください。