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安全在庫とは?適正在庫との違いと計算式について詳しく解説

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2024.12.27

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在庫管理は、企業の安定した供給を支える重要な要素です。特に「安全在庫」は、欠品リスクを軽減する大きな役割を果たします。市場の急激な需要変動や供給遅延に備えるため、安全在庫を確保することで、販売機会の損失を防ぐだけでなく、キャッシュフローの改善にもつながります。

当記事では、安全在庫の重要性や確保するメリット、計算式を紹介し、さらに適正在庫との違いを解説します。在庫管理の担当者は、ぜひお役立てください。

安全在庫とは

安全在庫とは、欠品を防ぐために確保すべき在庫量のことです。製品が予想外に売れた場合や、供給が遅延した場合などにおいて、安全在庫は重要な役割を果たします。

安全在庫と混同されやすい言葉に「適正在庫」があります。安全在庫を検討する際は、似た概念である「適正在庫」との違いを明確に理解するのが重要です。

以下では、安全在庫と適正在庫の違いについて解説します。

安全在庫と適正在庫の違い

安全在庫と適正在庫は、異なる役割を持つ在庫管理の概念です。

安全在庫は、予測外の需要変動や供給遅延に備えるクッション的な役割を果たし、在庫不足によるリスクの軽減を目的としています。安全在庫の設定により欠品リスクには対応できるものの、上限数の管理は含まれないため、余剰在庫が発生する可能性があります。

一方、適正在庫は、販売や生産の予測に基づいて計画される在庫量です。適正在庫は、リードタイム、需要予測、在庫回転率、顧客サービスレベルなどを総合的に考慮して計算されるため、企業の実情に合った適切な在庫数を把握できます。

安全在庫は主にリスク回避を目的とするのに対し、適正在庫は在庫全体の最適化を目指し、企業の利益を最大化するために設定する在庫量です。両者を適切に組み合わせることで、欠品防止と余剰在庫削減を両立させた効果的な在庫管理が実現します。

安全在庫を確保するメリット

安全在庫を確保するメリットは複数あり、代表的なものとして販売機会喪失の防止とキャッシュフローの改善、市場状況の急激な変動に対応できる点が挙げられます。

以下では、安全在庫を確保するメリットについて詳しく解説します。

販売機会の損失を防止できる

安全在庫を確保しておけば、市場ニーズの急変に対応し、販売機会の損失を防げます。たとえば、予期せぬプロモーション効果による急激な需要増加にも、安全在庫があれば顧客に製品を提供できます。

欲しい商品がいつでも手に入る安心感は、顧客の満足度を維持するだけでなく、取引先や顧客からの信頼も得やすくなるでしょう。また、安定した供給体制を構築することで、顧客の購買意欲を高め、リピート購入を促進する効果も期待できます。

キャッシュフローの改善に期待できる

安全在庫の確保により、キャッシュフローの改善が期待できる点もメリットの1つです。需要の読み違いによって、過剰在庫の保管コストが増加したり、キャッシュフローが悪化したりするケースは少なくありません。

適正在庫を設定した上で安全在庫を確保すれば、在庫の余剰が出にくくなり、これらのリスクを抑えられます。在庫商品の処分や値引きの必要がなくなれば、在庫コストや管理費を削減でき、事業の資金繰りの改善に期待できるでしょう。

需要・供給の急激な変動に対応できる

安全在庫を確保しておけば、需要や供給の急激な変動にも柔軟に対応できます。たとえば、サプライヤーで供給遅延が発生した場合や、予想を超える受注があった場合でも、安全在庫があれば対応が可能です。顧客に対するサービスレベルを維持しつつ、供給不足による業務の混乱を防ぎ、安定した商品供給が行えます。

自然災害や社会的な混乱など、予測不能なリスクにも対応できるため、サプライチェーンの安定性を高めることも可能です。自社の製造プロセスや流通における突発的なトラブルにも柔軟に対応でき、業務全体の安定性が向上します。

安全在庫を確保する際の注意点

安全在庫を確保する際には、いくつかの注意点があります。代表的なのは、絶対的な防止策とはならない点と、定期的なデータ収集が必要である点です。

以下では、安全在庫を確保する際の主な注意点を解説します。

欠品を完全に防げるわけではない

安全在庫管理だけでは、欠品を完全に防ぐことはできません。たとえば、メディアの特集やインフルエンサーによる突発的なブームが起きて需要が急増した場合や、物流の大規模な遅延が発生した場合などです。

想定を超える需要の増加や供給の大幅な遅延による影響を完全に排除するのは難しいため、あくまでリスク軽減策の1つとして捉えておかなければなりません。そのため、複数の供給元の確保や需要予測の精度向上など、ほかの対策との併用が重要となります。

定期的なデータ収集が必要になる

安全在庫を維持するには、需要や供給の変動を把握するための定期的なデータ収集が必要です。需要が安定していても、季節的な変動や市場の変化が影響する可能性があるため、過去のデータを基にした在庫状況の見直しは欠かせません。

標準偏差の正確な算出は難しく、数値の精度を高めるには長期的なデータの収集・解析と継続的なレビューが必須です。市場動向を柔軟に反映させるためには、在庫管理システムの活用が有効であり、コストバランスの最適化が実現できるでしょう。

安全在庫量の計算式と算出方法

安全在庫の計算には、次の計算式を使用します。

安全在庫=安全係数 × 使用量の標準偏差 × √(発注リードタイム + 発注間隔


企業の業種が異なっても、計算式は共通です。以下では、計算に必要な各要素と、エクセルでの計算に便利な関数を解説します。

安全係数

安全係数とは、欠品リスクをどの程度許容するかを数値化したものを指します。

たとえば、欠品許容率が5%の場合、安全係数は約1.65です。欠品リスクを低く抑えたい場合は、安全係数を大きく設定します。欠品許容率を使用する場合は、エクセルの「NORMSINV関数」で算出可能です。

=NORMSINV(1-欠品許容率)


欠品許容率が4%の場合、「=NORMSINV(1-0.04)」で安全係数は約1.75と算出されます

使用量の標準偏差

使用量の標準偏差とは、過去のデータを基に算出された需要のばらつきを示す指標です。標準偏差が小さいほど需要は安定しており、標準偏差が大きいほど需要の変動が激しいことを意味します。

算出方法は複雑であるものの、エクセルの「STDEV関数」を使えば簡単に計算できます。

=STDEV(過去の出庫数を入力した範囲)


過去の出庫数のデータ範囲が「D5~D30」であれば、「=STDEV(D5:D30)」と入力すれば標準偏差が算出できます。

発注リードタイム

発注リードタイムは、製品の発注点から納品時までにかかる時間です。この期間が長いほど、在庫不足のリスクが高まるため、安全在庫の量も増やす必要があります。

たとえば、発注した日から5日後に納品された場合、発注リードタイムは5日となります。

発注間隔

発注間隔は、定期的に発注する場合の発注サイクルを指します。たとえば、毎週1度発注する場合の発注間隔は7日です。不定期に発注する場合は、リードタイムのみを考慮すればよいため、発注間隔は0とします。

「√(発注リードタイム+発注間隔)」を求める際には、エクセルの「SQRT関数」を使うと便利です。

=SQRT(発注リードタイム+発注間隔)


発注リードタイムが5日で発注間隔が7日の場合、「=SQRT(5+7)」と入力すると、約3.46と算出されます。

まとめ

安全在庫は、在庫管理において欠品リスクを減少させ、急激な需要の変動に対応できる重要な要素です。販売機会を逃さず、キャッシュフローの改善にもつながる一方で、適正在庫と安全在庫のバランスを取ることが不可欠です。特に、需要予測の精度向上や定期的なデータ収集が必要となります。ただし、これらを手動で管理するのは非常に難しいため、在庫管理システムの活用が効果的です。

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