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D2Cとは?成功事例やメリット・デメリットをわかりやすく解説

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2024.12.27

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近年、D2C(Direct to Consumer)というビジネスモデルが注目を集めています。小売店や問屋を介さず、企業が自社製品を直接消費者に届けるスタイルのD2Cは、商品の収益性を高めるだけでなく、顧客との強い関係性を築く手法としても有効です。その一方で、従来型の販売モデルと比べてコスト構造や運営手法に独自の課題があるため、事前にその特徴をしっかり理解することが重要です。

この記事では、D2Cの基本的な仕組みから、成功事例やメリット・デメリットについて詳しく解説します。D2Cビジネスに興味のある方や、自社での導入を検討している方は、ぜひご覧ください。

D2Cとは?

D2Cとは、企業が自社商品を中間業者・小売店などを挟まずに直接販売する形式です。D2Cは「Direct to Consumer」の略語で、「D to C」とも表記されます。

D2Cでは、企業が自社の公式サイトを利用して商材を販売します。企業と消費者とが直接つながりを持てるため、ブランドイメージや商品コンセプトをダイレクトにアピールすることが可能です。

D2Cが広がった要因は、インターネット・SNSの発達によりEC市場規模が拡大したためです。また、消費者が商品・サービスの購入を通して得られる価値として、ブランドやその世界観を日常に取り込む「顧客体験」を重視するようになった点も挙げられるでしょう。

従来型の販売モデルとの違い

従来型の販売モデルでは、メーカーから卸売業者へ、さらに卸売業者から小売業者を経て消費者へと商品が届けられていました。一方で、D2Cは自社のインターネットサイトから直接消費者へと商品を販売しており、仲介業者を介さないのが両者の大きな違いです

また、D2Cの誕生以前は、CMや雑誌などを通した直販ビジネスモデルとして「ダイレクト通販」が利用されていました。ダイレクト通販は仲介業者を介さないという点ではD2Cと共通していますが、D2Cはブランドや商品の世界観を重視して売り出している点が特徴です。

さらに、D2Cと同じく仲介業者を介さない販売方法として「SPA」が挙げられます。SPAは「Specialty store retailer of Private label Apparel」の略です。日本語では「製造小売業」を表し、主にアパレル製品を自社で企画・製造・販売するモデルです。

SPAは直営店での大量生産・大量販売を基本としているのに対し、D2Cでは自社ECサイトでの差別化された商品販売がメインとなっています。

D2Cのメリット

D2Cには、仲介業者を介さない販売スタイルならではのさまざまなメリットがあります。自社ECサイトの開設を検討する際は、自社が抱える課題と照らし合わせながらメリットを確認しておきましょう。

ここでは、D2Cのメリットについてわかりやすく解説します。

収益性が向上する

D2Cは企業から直接顧客へと商品を販売するモデルであるため、中間マージンを省けることから収益性向上を期待できます。

卸売業者・小売業者などの中間業者を介して商品を販売する従来型の販売モデルでは、販売価格から製造原価と流通コストを差し引いた分が企業の利益です。対して、D2Cでは直接顧客に商品を販売するため余計な流通コストが発生せず、販売価格から製造原価・サイト運営費などを差し引いた残りがすべて企業の利益となります。

また、他社運営のECモール内に出店する場合、販売手数料が10%ほどかかるケースも少なくありません。自社ECサイトでの販売であれば当然手数料は不要であるため、コストカット・利益率アップを期待できます。

さらに、D2Cでは中間業者や他社運営のECモールとのやりとり・対応にかかる送料や人件費を削減できるのもポイントです。

コスト削減により低価格で商品を提供できる

D2Cでは商品が顧客のもとに届くまでのコストを最適化できるため、その分販売価格を下げて商品を提供できます。

D2Cは商品を直接顧客に販売できることから、流通コストや販売手数料のほか、受発注・返品時の他社担当者とのやりとりにかかる人件費なども削減可能です。また、自社店舗での販売と比較しても、D2Cでは店舗運営にかかるテナント料・人件費などをカットできます。

D2Cでは他の販売モデルよりもコストを抑えやすいことから、その分販売価格を下げて高品質・低価格な商品提供を実現可能です。

顧客データを直接収集できる

D2Cでは自社のECサイトを利用して商品を販売するため、サイトにアクセスした顧客の反応やデータを自社で直接収集・管理して売上アップに役立てられます。

従来の販売モデルでは販売業者を介して商品を提供しており、顧客情報・アクセスデータはそれぞれの仲介業者が別個に収集・分析していました。そのため、メーカーが直接顧客の反応や動きを知るのは困難でした。

対して、D2CではECサイト内での顧客の動きを自社で直接収集・分析できます。具体的には、サイトの滞在時間や離脱ページ、閲覧商品、カート内の商品などを細かくチェックすることが可能です。

顧客データ分析によって商品購入を妨げている要素を分析すれば、ECサイトの改善・売上アップに生かせるでしょう。

顧客との距離が近くなる

D2Cでは自社ECサイトでの商品販売を通して顧客との距離を近く保てるため、顧客に直接アピールしやすい・顧客の声をリサーチしやすいといった点もメリットとなります。

最近では、SNSで企業の公式アカウントを作って積極的にユーザーとやりとりするスタイルが増えています。D2CとSNSを組み合わせれば顧客のリアルな声を集めて商品開発や販売に生かせるのはもちろん、顧客に寄り添った販売モデルで信頼関係を深められるのも魅力です。

また、SNSや自社サイトを通してブランドストーリーや商品開発の軌跡などを顧客に伝えることで、商品とともにブランドの世界観まで提供できます。顧客が単なる商品のユーザーからブランドのファンになれば、リピーターを獲得しやすくなるでしょう。

柔軟なマーケティング活動が可能になる

D2Cでは自社ECサイトを通して商品を販売するため、企業独自の施策を取り入れるなど自由度の高いマーケティング戦略を立てられます。

他社運営のECサイトに出店した場合、サイトの方針やキャンペーンに合わせて商品を販売しなければなりません。D2Cであれば制限なく柔軟に施策を取り入れられるため、キャンペーンや割引なども自由に決定できます。

また、D2Cでは商品の強みを宣伝しやすいのも魅力です。他社製品と一括りにされる・比較されるといった懸念がなく、正確に商品のメリットを伝えられます。さらに、ブランディングやイメージ戦略にも自由に取り組むことが可能です。

D2Cのデメリット

D2Cにはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。自社ECサイトでの商品販売を検討する際は、メリット・デメリットの両面をしっかりと把握しておくことが重要です。

ここでは、D2Cのデメリットについて詳しく解説します。

初期コストが発生する

D2Cを取り入れる場合、まずはECサイト構築のための初期コストが必要です。

ECサイトを設計・デザインする際、自社にIT人材が充実していないとリソースの確保からスタートしなければならず、初期コストとして人件費が必要となります。また、外注によりサイトを立ち上げるのであれば、当然依頼費用がかかります。

D2Cは販売コストを削減しやすいのが強みでもありますが、ECサイトの構築には相応の初期コストがかかることも押さえておきましょう。

さらに、ECサイトが完成して運用を開始した後にも、サイトの維持・メンテナンス費用などのランニングコストが必要です。

集客コストがかかる

D2Cモデルを取り入れる場合、ECサイト構築費用のほか、消費者にブランドやECサイトの存在を認知してもらうための集客コストもかかります。

自社でどれほど高品質・低価格な商品を取り扱っていても、自社ブランドや商品の認知度が低ければ売上にはつながりません。ショッピングモールなどに出店する場合は自然と店舗が消費者の目に入りますが、ECサイトは企業側から積極的にアピールしなければ売上を伸ばすのは難しいでしょう。

D2Cを取り入れる際は、集客活動に充てる時間とコストを十分に確保しておく必要があります。

高度な集客・マーケティング力が求められる

ブランドや商品の知名度が高くない場合、集客・マーケティングスキルがないと売上を確保できない点もD2Cのデメリットの1つです。

ECサイトでの買い物を促すには、サイトの存在を知ってもらうための集客活動が必要です。具体的には、ウェブ広告を出したり、サイトを検索画面上で上位に表示させる対策を講じたりして、サイトが消費者の目に止まるようアピールします。オウンドメディアやSNSを利用して顧客獲得を目指すのも有効です。

また、単に集客するのみでは商品の購入につながらない場合も少なくありません。商品に興味を持ってもらえるようなキャッチコピーや宣伝方法を考える・購買意欲を刺激するキャンペーンを実施するなどの高度なマーケティングスキルが求められます。

一定の売上を達成するまで時間がかかる

D2C導入時は「自社ECサイト販売」という新たな販売モデルを0から立ち上げることになるため、軌道に乗るまでにはある程度の時間を要します。

自社の販売モデルをD2Cに変更する場合、ECサイトを立ち上げて運用を開始すればすぐに利益を上げられるわけではありません。一定の売上を達成するには、ブランドや商品の知名度を上げる・消費者をブランドのファンへと育成するといった作業が必要です。

社内にD2Cのノウハウがない企業では、ECサイトの立ち上げ経験者を採用するなどの対策も求められます。

商品の梱包・発送に関する課題が増える

D2Cビジネスでは、商品の梱包・発送作業にかかる手間とコストが大きな課題です。消費者に直接商品を届けるため、企業は一つひとつの商品を丁寧に梱包し、発送の手配を行う必要があります。この作業には、梱包資材の管理や梱包そのものにかかる時間、そして人件費が発生し、取扱量が増えるとコストも比例して増加します。また、梱包や発送ミスは顧客満足度の低下に直結するため、徹底した品質管理も欠かせません。

これらの課題を解決する方法として、梱包・発送代行サービスのアウトソーシングがあります。専門業者に委託すれば、効率的な梱包・発送を実現しやすくなり、企業の負担を軽減しつつ、安定した品質で顧客に商品を届けることが可能です。

しかし、大手のECモールと提携している梱包・発送などの物流業務代行サービスは、取引先が多い関係上ルールがある程度固定化されており、個別相談が難しいケースがあります。また、提携モール以外の出荷作業を依頼するとコストが割高になるなどのデメリットも存在するため、アウトソーシングした結果かえって高くつく可能性も否めません。

したがって、デメリットを解消するためにもD2Cにおける発送業務の実績が豊富な専門業者へ委託するのが重要です

D2Cブランドの成功事例5選

D2Cブランドとして自社ECサイトでの商品販売を成功させるには、これまで実際にD2Cを取り入れて成功を収めてきた企業の例を参考にするのが有効です。他の業界・業種の成功事例であっても十分に応用できるため、さまざまなD2Cブランドの成功例を知っておくとよいでしょう。

ここでは、国内外のD2Cブランドの成功事例を5つ紹介します。

Warby Parker

Warby Parkerとは、学生4人が立ち上げたアメリカ・ニューヨーク発のアイウェアのオンライン販売企業です。メガネ・コンタクト・サングラスを取り扱っており、低価格かつ高品質なアイウェアの提供を実現しています。

アメリカのアイウェアは比較的高価なアイテムであり、特にデザイン性にこだわった商品は日本円で数万円程度の価格となります。Warby Parkerでは自社ECサイトのみのスタートで固定費を削減し、自社開発の高品質なアイウェアを通常の1/4程度の価格で提供することに成功しました。

また、アイウェアの購入時には最大5点までのアイテムを無料で自宅に届ける試着サービスを設け、ECサイトでの購入による不安を取り除いています。

Warby ParkerはD2Cに成功したブランドとして評価されており、2015年には世界で最もイノベーティブな企業ランキング1位に輝きました。

BULK HOMME

BULK HOMMEとは、男性向けの化粧品販売をメインとしている日本の化粧品ブランドです。取り扱い商品は主にフェイスケア・ヘアケア・ボディケアの3種類です。

BULK HOMMEでは、2013年から自社ECサイトでの定期購入をメインとして商品の販売を開始しました。商品の品質・デザインはもちろん、世界のメンズビューティーをアップデートするというブランドコンセプトの確立にも力を入れて認知度を拡大しました。

また、BULK HOMMEは日本のみでなくヨーロッパを中心とした海外展開にも尽力しています。具体的には、SNS活用やインフルエンサーマーケティングのほか、サッカーフランス代表選手をアンバサダーとして任命するなどの取り組みを実施しています。

FABRIC TOKYO

FABRIC TOKYOとは、ECサイトをメインとしてオーダーメイドスーツを販売するアパレルメーカーです。オーダーメイドスーツは手を出しにくいイメージがありますが、FABRIC TOKYOでは自宅にいながらオーダーできる手軽さが魅力です。

通常オーダーメイドスーツを購入する際は、実店舗に出向いて生地選び・採寸などを経てオーダーを完了します。しかし、FABRIC TOKYOでは自宅で手持ちのスーツを計測してサイトに登録することでサイズが指定可能であり、顧客・企業のどちらの負担も減らしています。

また、生地選びや採寸に不安がある場合、実店舗での生地見本の確認やスタッフによる採寸も可能です。地域によっては、スタッフが顧客の自宅に出向いて採寸する出張サービスも提供しています。

FABRIC TOKYOの事例は、ECサイトのメリットと実店舗のメリットを組み合わせたビジネスモデルとしても評価されています。

土屋鞄製造所

土屋鞄製造所とは、シンプルで質の高いランドセル・仕事鞄などを販売する皮革製品ブランドです。皮革製品特有の経年変化を楽しみながら長く愛せるアイテムを届けるため、デザインだけでなく丈夫さにもこだわっているのが特徴です。

土屋鞄製造所では、実店舗とECサイトの両方で商品を販売しています。EC事業は2000年代にスタートしており、SNS・ブログで自社工房からの発信を行うことで売上を伸ばしました。

メイン商品の価格帯は5万円程度と比較的高額であるものの、ブランディング・ファン獲得の徹底によって多くのユーザーに支持されています。

17kg

17kg(イチナナキログラム)とは、10代の女性をターゲットとした韓国系ファッションのアパレルブランドです。流行の韓国系ファッションを低価格で提供し、若い女性に韓国特有のおしゃれな着こなしを楽しんでもらうことを目指しています。

17kgはメインターゲットが「10代の女性」と明確であるため、商品の価格帯は2,000~3,000円程度に抑えられているのが特徴です。また、SNSでの発信やインフルエンサーの起用に加えて自社ECサイト・アプリの強化にも注力したことで、安定した売上を確保しています。

複数の新作商品を販売しており、ユーザーを飽きさせない点からも人気を集めています。

まとめ

D2Cは、企業が直接消費者に商品を届けるビジネスモデルです。商品の収益性を高めたり顧客との関係を強化したりできる多くのメリットがあります。

小売店や問屋を介さず、直接消費者に商品を届けるD2Cでは、商品の梱包・発送を自社で行わなければなりません。梱包・発送関連の業務を行った経験がない企業の場合、ノウハウ不足により効率性や品質面で課題を抱えることがあります。このような場合には、発送代行サービスを活用することで、業務の負担を軽減し、品質の安定化を図ることができます。

ロジモプロでは、D2C企業から送られた商品を自社倉庫で保管・梱包・発送するサービスを提供しております。D2Cビジネスで生じる梱包・発送の課題を解決したい方は、ぜひロジモプロにご相談ください。

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