物流倉庫の中では、検品や梱包、ピッキングなどのさまざまな作業を行っています。人の手に頼る作業が多いため、作業が属人化しやすく業務効率を可視化することの難しい面があります。物流に関する業務の効率化を進めるためには、倉庫内の作業について分析・検討することが大切です。
この記事では、物流倉庫内で行う作業の効率が低下してしまう原因について、詳しく解説します。また、作業効率を改善する方法についても取り上げるので、自社の倉庫業務を効率化したい方はぜひ参考にしてください。
ロジモプロ
アカデミー
物流倉庫での作業効率を改善する7つの方法|効率が悪化する原因も
- #EC物流
- #発送代行
2024.08.09
目次
物流倉庫での作業効率が悪化する原因
物流倉庫では人力に頼る作業が多く、作業内容や工程が非効率的になっているケースがあります。自社倉庫や物流の担当者は非効率的な作業が発生する原因を把握して、対策を取りましょう。物流倉庫での作業効率が悪化する主な原因を2つ紹介します。
3M(ムリ・ムダ・ムラ)
物流倉庫は作業の3M(ムリ・ムダ・ムラ)が発生しやすく、3Mの存在は作業効率の悪化につながっています。
物流倉庫の3Mとは、作業が下記の状態になることです。
ムリ | 作業者の能力に対して、作業の負荷が極端に大きい状態 |
ムダ | 作業者の能力よりも、作業の負荷が極端に小さい状態 |
ムラ | ムリとムダが混在していて、作業で安定した成果を出せない状態 |
ムリが発生すると作業の停滞や人的ミスによる業務の遂行が無理になる事態を招き、ムダが発生した場合は倉庫スペース・人件費の無駄になります。倉庫作業でムラが発生すれば、安定的な倉庫運用はできません。
物流倉庫の3Mは、倉庫内作業を行う人員に対して、作業の適切な割り振りができていないことで発生します。物流現場の担当者は現場で3Mが発生していないかをよく確認しましょう。
作業の属人化
物流倉庫は作業の属人化がしやすい環境であり、作業担当者の退職・休職などが起こったときに作業効率が悪化します。
物流倉庫で作業の属人化が発生する理由は、倉庫内作業は売上に直接関与しない業務であり、業務改善の対象になりにくいためです。
作業は個人の経験・知識にもとづいて行われる傾向があり、本人以外は作業のやり方を把握できていないケースが少なくありません。実際には効率性が低い作業方法であっても、ほかのやり方を知らないのであれば、気付かないまま作業効率の悪化を招くことになります。
物流現場の担当者は作業の属人化を解消・予防するために、マニュアル作成やシステム導入などによる対策を行う必要があります。
物流倉庫での作業効率を改善する方法
物流倉庫で非効率的な作業が発生している場合は、効率悪化の原因を解消できる改善対策を実施しましょう。以下では、物流倉庫での作業効率を改善する7つの方法を解説します。
整理整頓を行う
整理整頓を行うと、倉庫内が作業しやすい環境になって作業効率を改善できます。
物流倉庫の整理整頓で導入したい考え方が、製造業や小売業などで使われている5S活動です。5S活動は、下記の5つの活動で構成されています。
整理 | 必要な物品と不必要な物品を分けて、不必要な物品は処分や片付けをする。 |
整頓 | 物品を決められた場所に配置する。 |
清掃 | 作業場所をきれいに掃除する。 |
清潔 | 清掃を定期的に行い、清潔な状態を保つ。 |
しつけ | 5S活動を継続するためのルール作りや教育を行う。 |
物流倉庫で5S活動を習慣付けることにより、作業しやすい環境を作れます。
倉庫のレイアウトを最適化する
倉庫のレイアウトを最適化することで、倉庫内を作業者が移動しやすくなって作業効率が向上し、物品の保管量も増加します。
倉庫のレイアウトは、主に「I型」と「U型」の2種類があります。
I型は、入庫口から出庫口までが直線的な動線になっているタイプのレイアウトです。作業者の通り道を中央に寄せられるため、商品の保管スペースを大きく取れます。通路上に作業者が滞留しやすい点には注意してください。
一方のU型は、入庫口と出庫口が同じ場所にあり、作業時は倉庫内を回遊するタイプのレイアウトです。作業者の流れがスムーズになり、商品の入出庫頻度が多い場合にも快適に作業できます。作業者の通路が多くなって、保管スペースが圧迫される点はデメリットです。
自社倉庫の形状や倉庫内作業の流れを考えて、適切なレイアウトを選びましょう。
ロケーションを見直す
商品の管理をしやすくするために、倉庫内のロケーションを見直しましょう。
ロケーションとは、倉庫内における商品の保管場所です。ロケーションには番号が割り振られていて、配置した商品をロケーション番号で管理することにより、場所を探し回らずに管理や出庫作業が行えます。
ロケーションの見直しでは、商品の入荷・出荷頻度に応じて適切なロケーションに配置します。作業者にとって作業にかかる負担が少なく、ピーク時の入出庫作業もしやすいようにロケーションを改善しましょう。
マニュアル化を進める
物流倉庫の作業効率を改善するには、倉庫業務のマニュアル化を進める必要があります。作業者それぞれが独自のやり方で行っていると、作業に3M(ムリ・ムダ・ムラ)が発生するためです。
作成したマニュアルは新人教育にも利用できます。新人の作業者を教育して熟練の作業者と同等の作業品質を確保できるようになり、作業の属人化も解消できるでしょう。
また、倉庫内作業の改善を行うと業務フローなどが変化するため、マニュアルは適宜修正・更新することが大切です。
適切なピッキング方法を採用する
出荷指示を受けて商品を集めるピッキング作業は、適切な方法を採用することで効率化できます。
ピッキング方法の主な種類は「シングルピッキング」と「トータルピッキング」の2つがあります。
シングルピッキングは、1オーダーごとに商品のピッキングを行う方法です。出荷件数が少なく、商品種類が多い場合のピッキング方法に適しています。
もう1つのトータルピッキングは、複数のオーダーについてまとめてピッキングする方法です。出荷件数が多く、商品種類が少ない場合はトータルピッキングを選んだほうが効率的な作業ができます。
倉庫管理システムを導入する
倉庫管理システムを導入すると、倉庫内作業の一元管理ができて倉庫全体の業務効率化ができます。
倉庫管理システムとは、入荷管理・在庫管理・出荷管理・ロケーション管理・棚卸管理などの機能があるシステムのことです。倉庫内作業の管理に特化したシステムであり、作業の省力化や在庫情報の可視化、人的ミスの防止に役立ちます。
また、倉庫管理システムの導入と同時に、フォークリフト・台車・搬送コンベアなどのマテハン機器導入も検討しましょう。
ただし、倉庫管理システムによる改善を行う際は、システムの導入コストや従業員への教育コストがかかる点に注意してください。
倉庫管理システムについては、下記のページでより詳しく解説しております。
アウトソーシングを活用する
自社倉庫の物流改善が難しい場合や、他の改善方法を実施しても効果が見られない場合などには、アウトソーシングを活用するとよいでしょう。
アウトソーシングとは、外部の事業者に業務代行を依頼できるサービスのことです。物流倉庫のアウトソーシングを活用すると、入荷・検品・在庫管理・帳票発行・ピッキング・出荷などのさまざまな倉庫内作業を外注できます。
物流倉庫のアウトソーシングは物流作業の専門企業が提供していて、効率的な作業によって物流を支えてもらえる点がメリットです。倉庫内作業を行うために自社の人員を割く必要がなくなり、より重要なコア業務にリソースを集中できるようになります。
物流倉庫のアウトソーシングに興味がある方は、下記のページもぜひ参考にしてください。
まとめ
物流倉庫内の作業効率が悪化してしまう原因としては、3M(ムリ・ムダ・ムラ)と作業の属人化が挙げられます。作業効率を高めるためには、これらの問題に取り組まなければなりません。
物流倉庫での作業効率を改善する方法として、アウトソーシングの活用があります。ロジモプロは、初期費用・月額固定費が無料で面倒な発送業務を依頼できる発送代行サービスです。アウトソーシングの利用により物流関連の業務を効率化したいと考えている方は、ぜひロジモプロにご相談ください。