倉庫の保管料は、物流業界における重要なコスト要素の1つです。保管料の相場や実際の金額は、業種や保管料の計算方法によって異なりますが、コストを抑えるためには自社に最適な保管料の管理方法を見つけることが重要です。
当記事では、各業種における保管料の割合や、倉庫保管料の料金体系および計算方法について詳しく解説します。また、保管料の見直し方法についても解説するので、物流コストの削減を目指す方はぜひご覧ください。
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倉庫の保管料の計算方法は?料金体系や見直しの方法も解説
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2024.08.09
目次
倉庫の保管料はどの程度かかる?
物流コストの中で倉庫の保管料がどの程度かかっているかは、業種によって違いがあります。
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会がまとめた2023年度物流コスト調査報告書によると、全業種において保管料が物流コスト中に占める割合は「16.4%」です。
保管料が物流コスト中に占める割合を業種別に表すと、下記の通りとなります。
製造業 | 卸売業 | 小売業 | その他 |
17.1% | 22.7% | 7.4% | 5.5% |
(出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「2023 年度 物流コスト調査報告書【概要版】」/https://www1.logistics.or.jp/Portals/0/resources/Cost/cost_report_20240426.pdf)
特に製造業と卸売業は、物流コストに占める倉庫の保管料の割合が大きいと言えるでしょう。
倉庫保管料の料金体系は?
倉庫保管料の料金体系は、保管単価にどのような単位を使用するかによって異なります。
倉庫保管料の料金体系で用いられる単位は、下記の5種類です。
- 坪建て
坪建ては、保管に使用した坪数にもとづいて倉庫の保管料を計算する方法です。なお、1坪あたりの広さは約3.31平方メートル(畳2枚分)です。坪建ての契約形態には、実際に使用した坪数分が請求される「使用坪契約」と、使用する坪数をあらかじめ固定する「固定坪契約」の2種類があります。 - 個建て
個建ては、預ける荷物のサイズがほぼ均一である場合によく用いられる計算方法です。荷物1個あたりの単価を設定し、実際に倉庫に預けた個数を乗算して、倉庫の保管料を計算します。 - パレット建て
パレットとは、荷物の輸送・保管時に使用する板状の物流機器を指します。パレット建ては、パレット1つあたりに料金を設定して、保管料を計算する方法です。入庫から保管、出庫までをパレットのままで扱う荷物の場合、パレット建てによる計算が効率的と言えます。
- 重量建て
重量建ては、荷物の重さにもとづいて保管料を計算する方法です。重量1キロや1トンあたりで単価を設定し、総重量で保管料を算出します。液体や粉・粒状のように容積に比べて重量が大きく、個数やパレット単位では数量管理が難しい荷物に対して、重量建てがよく用いられています。
- 容積建て
容積建ては、荷物の容積(幅×奥行×高さ)で保管料を計算する方法です。容積の単位は一般的にメートルを使用します。建築資材などの大型で容積が大きい荷物には、容積建てが用いられます。
倉庫保管料の計算方法
倉庫保管料の計算方法は、計算の対象となる期間をどのように区切るかによっても違いがあります。
主な計算方法は下記の4種類です。それぞれの計算方法とメリット・デメリットを解説します。
3期制の場合
3期制とは、1か月を「1日~10日の第1期」「11日~20日の第2期」「21日~末日の第3期」の3つに分けて計算する方法です。
3期制は1か月の倉庫保管料を下記の計算式で算出します。
1か月の倉庫保管料=(前期末の在庫数+第1期末の残在庫数+第2期末の残在庫数+今月の入庫数)×保管単価 |
3期制のメリットは、入庫の数量が少ないときに保管料を抑えられることです。反対に、入庫による荷動きが活発な場合に保管料が高額になりやすい点はデメリットと言えます。
なお、入出庫の頻度が多いEC発送対応の物流会社では「坪数×坪単価」の料金体系を取るケースが多く、3期制は主流ではなくなってきています。
2期制の場合
2期制とは、1か月を「1~15日の上期」「16~末日の下期」に分けて計算する方法です。
2期制では、1か月の倉庫保管料を下記のように算出します。
1か月の倉庫保管料=(前期末の残在庫数+上期末の残在庫数+今月の入庫数)×保管単価 |
2期制は、3期制よりも入庫による影響を受けにくく、入庫の頻度が多い場合にも倉庫保管料の変動を抑えやすい点がメリットです。
ただし、2期制は物流業界全体ではあまり採用されていない方法です。冷凍倉庫や冷蔵倉庫では採用されることがあります。
1期制(1か月単位制)の場合
1期制は、倉庫保管料を1か月単位で計算する方法です。
1期制の倉庫保管料は、下記の計算式で算出します。
1か月の倉庫保管料=(前期末の残在庫数+今月の入庫数)×保管単価 |
1期制は3期制・2期制のように期間を分割する必要がなく、保管料の管理がしやすいことがメリットです。デメリットは、在庫数が急激に増加した場合に保管料の負担が大きくなりやすい点です。
日割り計算の場合
日割り計算は、倉庫保管料を1日単位で計算する方法です。
日割り計算では下記の計算式を用います。
1日の倉庫保管料=保管数量×保管単価 |
日割り計算のメリットは、日々の保管数量を反映して、倉庫利用の実態に合う柔軟な保管料計算ができることです。一方、流動的になりやすい日々の保管数量が計算のベースになるため、倉庫保管料の計算に手間がかかる点はデメリットと言えます。
倉庫の保管料を見直すには?
倉庫保管料を見直す際は、荷物の在庫管理や倉庫内のロケーション、物流倉庫の運用方法といったポイントに着目しましょう。
最後に、倉庫にかかるコストを削減するための方法を3つ紹介します。
適正在庫を意識する
適正在庫とは、商品の欠品や過剰在庫を出さない、需要に合った適切な在庫数のことです。
在庫数が多すぎると倉庫の保管料が高くなる他、過剰在庫になったり廃棄をせざるを得ない状態になったりします。反対に在庫数が少なすぎても、販売数が想定を大きく上回ったときに欠品が生じて、販売機会の損失につながるため避けたいところです。
適正在庫を意識することで、倉庫の保管料を抑えつつ、無駄の少ない在庫状況を作れるようになります。
適正在庫を実現するには、自社にとっての適正な在庫数を計算しなければなりません。適正在庫の計算方法は下記のページで解説しております。
ロケーションを最適化する
倉庫のロケーション管理を行ってロケーションを最適化すると、保管料を削減できる可能性があります。
ロケーションとは、倉庫内における荷物の保管スペースのことです。荷物を保管する棚や床面に数字・アルファベットなどでロケーション番号が振られていて、荷物の管理やピッキングを行うときの目印として使います。
ロケーション管理では、「固定ロケーション」と「フリーロケーション」を使い分けましょう。
固定ロケーションは、特定の荷物を常に同じ場所に保管する方法です。売れ行きが安定している商品の管理方法に適しています。
もう1つのフリーロケーションは、倉庫内の在庫状況に合わせて荷物の保管スペースを変える方法です。季節によって売れ行きが変わる商品や、一時的な在庫を保管するときにはフリーロケーションを使うとよいでしょう。
アウトソーシングを活用する
物流のアウトソーシングを活用すると、倉庫業務を一括して外部業者に任せられるようになり、倉庫保管料の削減につながります。特に自社倉庫を構えていて、倉庫業務も自社で行っている会社はアウトソーシングの活用を検討しましょう。
アウトソーシング先を選定する際は、複数社に見積りを取ることが重要です。見積りで「曖昧な費用の発生がないか」「保管単価の単位は何か」などのポイントを考慮すれば、自社に合っていてコスト削減もできるアウトソーシング先を選べます。
まとめ
倉庫の保管料は、業種や保管方法によって大きく異なりますが、効率的な管理と最適化を行うことでコストを削減できます。物流コストを最小限に抑え、効率的な運営を実現するためには、物流のアウトソーシングもおすすめです。
物流サービスを提供するロジモプロでも、アウトソーシングが可能です。ロジモプロの保管料は日割りでの計算で、入出荷数に応じて日々変動する完全従量課金制なので、使った分のコストしかかかりません。コストを抑えたい方は、ぜひ一度ロジモプロにご相談ください。