販売目的で商品を仕入れたものの売れ残ってしまい、倉庫に保管したままの状態になっているものを「余剰在庫」と呼びます。余剰在庫があると、キャッシュフローが悪化したり在庫の維持管理にコストがかかったりと、さまざまなリスクが起こりかねません。
当記事では、余剰在庫が発生する原因を3つの項目に分けて解説するとともに、余剰在庫があるとどのようなリスクが起こるのかなどを解説します。発生した余剰在庫を減らす方法も紹介するので、余剰在庫に困っている方はぜひ参考にしてください。
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余剰在庫とは?発生する原因や過剰在庫・滞留在庫との違いを解説
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2024.05.10
目次
余剰在庫とは?
余剰在庫とは、販売目的で仕入れたものの売れ残り、倉庫に保管中となっている商品を指します。欠品しないよう過度に発注するのも原因の1つなので、需要の高い商品であっても余剰在庫になり得ます。
余剰在庫は商品としての価値が残ったままであり、この先売れる可能性があることから、在庫リスクとしてすぐに大きな問題を発生させるわけではありません。ただし、そのままにしておくと多様なリスクを引き起こすため、できる限り早急に対処すべきなのは事実です。なお、余剰在庫と過剰在庫は、基本的に同じ意味となります。
余剰在庫と滞留在庫の違い
滞留在庫とは、需要がなく売れる可能性がほとんどない商品です。具体例としては、賞味期限が迫った食品や、壊れて販売できなくなった商品などが挙げられるでしょう。余剰在庫と滞留在庫の最も大きな違いは、売れる見込みの有無です。
余剰在庫は売れる可能性がある一方、滞留在庫は売るのが困難です。余剰在庫も長く放置していれば、「賞味期限が切れる」「経年劣化したことにより、商品そのものの機能が失われる」などの理由で滞留在庫になる可能性はあるでしょう。
たくさんの滞留在庫を放置していると、倉庫のスペースを占領し、保管費用が圧迫されます。さらに、管理費が増えたり業務効率を低下させたりと、さまざまなリスクを及ぼすことにもつながります。放置していても利益にならずコストがかかる存在のため、滞留在庫は余剰在庫以上に早急な対処が必要と言えるでしょう。
物流業界に関係する働き方改革関連法の要点
余剰在庫になりやすい商品としては、以下のようなものが挙げられます。
- 大きさやカラーのバリエーションが多い商品
バリエーションの多い商品は、需要の低いものだけが売れ残って余剰在庫になりやすい傾向にあります。同じ商品でも、大きさやカラーによって需要は異なるため、大きさ・カラーごとの適切な需要予測が欠かせません。 - 季節限定の商品
季節ものの商品はその季節をすぎると購入する人が少なくなることから、余剰在庫になる可能性が高まります。
- 多くの競合がある商品
競合が多い商品は、自社よりも性能のよい商品や価格の安い商品が登場する可能性も高まります。こうした競合に圧倒的な需要が集まれば、自社製品の需要が落ち、余剰在庫になる可能性が高まるでしょう。
以下からは、余剰在庫が発生する原因について紹介します。余剰在庫を減らしたい人は、ぜひ参考にしてください。
正確に需要予測できていない
「この商品はどのくらい売れそうであるか」という需要予測を見誤ると、過剰に在庫を用意することになり、販売しきれず余剰在庫になる結果へとつながります。以前までは大きな需要があった商品であっても、ある日を境に需要が減少するというケースもありえるでしょう。
そのため仕入れの際は、現在の世間における需要を常に把握しておかなければなりません。需要減少に気づかず、在庫数を調整できなかった場合、売れ残って余剰在庫が発生します。需要予測の誤りを防ぐためには、これまでの販売データや市場の動向を入念に確認し、それをもとにした正確な予測が欠かせません。
返品が多い
お客様から返品されたことで商品が倉庫に戻ってくると、その商品も余剰在庫の1つとなります。返品の数が多ければ多いほど、余剰在庫も膨らむでしょう。
商品に不良箇所があったり、広告に誇大表現があったりすると、返品される可能性が高くなります。完全に返品を防ぐのは難しいものの、商品や広告の品質に問題がないかを入念にチェックしておくことで、ある程度の返品は防ぎやすくなります。
在庫管理が正確に行えていない
在庫管理が正確でなくなる要因は、以下の通りです。
- 管理が属人化している
- 過度にフローが煩雑
- アナログで管理している
上記のような要因があると、管理が正しく行われにくくなり、実際の在庫とデータ上の在庫にズレが生じる結果につながるでしょう。データにズレが生まれると、「倉庫に保管されている商品は十分な在庫があるにもかかわらず、新たな商品を仕入れた」などのミスが生じ、余剰在庫が発生します。
在庫を適切に管理できるよう、使用しやすい在庫管理システムを導入したり、業務フローを改善したりすることがポイントです。
余剰在庫によって起こりうるリスク
余剰在庫を抱えると、以下のようにさまざまなリスクが生じます。
- キャッシュフローが悪化する
キャッシュフローとは、事業におけるお金の流れです。商品を仕入れても、販売できなければ利益にはなりません。余剰在庫が増えると、利益が出ず支出だけが増加して、自社の運営にマイナスな影響を与えます。キャッシュフローが悪化すると、最悪の場合、経営の悪化や倒産を招くケースもあるでしょう。 - 在庫の維持管理にコストがかかる
余剰在庫があると、それを保管するためのスペースが必要です。大量の余剰在庫を抱えればその分大きなスペースが必要になり、現在の倉庫では足りなくなるケースもあります。その場合は、新しく倉庫を増設するといった拡張作業を行う必要が出てきます。 スペースだけでなく、保管する上での人件費や運搬費も増えることになるでしょう。大量の余剰在庫を維持管理するためには、さまざまなコストがかかります。 - 商品価値が低下する
仕入れた頃は価値が高かった商品であっても、余剰在庫として放置しているうちに価値が低下するケースは少なくありません。該当するものとしては、その時流行していた話題のコンテンツに関する商品や、季節ものの商品などが挙げられます。
上記の通り、余剰在庫を残しておくと多くのリスクが発生するため、早急に手放す必要があります。商品によっては、定価で販売するのがすでに困難となっているものも少なくありません。そのため「どのような手段で販売するか」以上に「どのくらい損失を減らして処分するか」を考えることで、早めに余剰在庫を減らしやすくなるでしょう。
発生した余剰在庫を減らす方法
すでに発生している余剰在庫は、以下の方法で対処する必要があります。
値下げする |
値下げされた商品は消費者の興味を引きやすいため、売れやすくなる可能性があるでしょう。なお、常に値下げしていると安いイメージが定着し、定価での販売が難しくなったり、ブランドとしての印象が低下したりするというデメリットがあります。常に値下げし続けるのではなくセールを通して期間限定で値下げすることで、印象の低下を防げます。 |
アウトレットで販売する |
アウトレットは、通常価格では販売が難しいものを安く売る販売形態です。安く売られるのが前提のため、通常の値下げに比べてブランドの印象を低下させにくいというメリットがあります。 |
業者に買取依頼する |
業者に買取依頼すれば、ほかの方法では販売するのが難しい商品であっても現金に換えられる可能性が高まります。業者側が商品を取りに来るサービスを実施している場合、業者へ届けるための人件費も節約可能です。ただし、値下げやアウトレットに比べると利益率は低いでしょう。
業者の中には過剰な料金を設定したり、後からプラスで料金を請求してきたりするケースもあります。悪質なところを選ばないよう、依頼する業者は慎重に検討しましょう。 |
まとめ
余剰在庫は、販売目的で仕入れたものの売れ残ってしまい、倉庫に保管状態となっている商品のことです。余剰在庫を放置していると、キャッシュフローの悪化や在庫の維持管理にコストがかかるといったリスクがあるため、早急に対処しましょう。
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