EC・通販市場が急速に拡大する近年において、物流倉庫の存在感もまた高まっています。かつては単に物を保管する役割のみを担っていた倉庫は、現在は保管だけでなく、荷役・梱包・流通加工・管理といった多様な物流にかかわる業務をこなす場所です。商品の入荷から出庫までを任せられる物流倉庫に業務を委託すれば、倉庫の維持に必要なコストを削減しつつ、コア業務にリソースを集中できるでしょう。
この記事では物流倉庫の役割や代表的な物流倉庫の種類、業務の流れや利用するメリット・デメリットを解説します。
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物流倉庫とは?種類や業務内容・利用するメリットについて解説
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2023.12.11
目次
物流倉庫とは
物流倉庫とは、商品の保管から管理、出荷までを一連して行う場所です。物を保管する機能だけでなく、商品の仕分けや梱包、発送などの細かな物流機能を備えています。
物流倉庫と似た役割を持つ場所として、物流センターがあります。物流倉庫は物流センターと比較して、一般的に保管業務に特化しており規模が小さい点が特徴です。物流倉庫はあくまでも倉庫としての保管の役割を重点的に担っており、そのほかの機能は補助的な役割と言えます。
物流倉庫の役割
物流倉庫では、主に下記の5つの役割を担い、業務の効率化をサポートします。
保管 | 商品や資材を一時的に保管し、需要に合わせて消費者や店舗に出荷する |
荷役 | 商品や資材の搬入・搬出、倉庫内での運搬を行う |
梱包 | 配送途中で商品や資材が破損・劣化しないよう、適切に梱包する |
流通加工 | 商品の小分け包装や値札付け、二次加工など、付加価値の高まる加工を施す |
管理 | 在庫数や商品情報、顧客情報など、物流に関わる多くのデータ管理を行う |
商品情報や顧客情報、出荷情報などのデータを収集・管理できるのも、物流倉庫のメリットです。蓄積されたデータを元に、発送業務の分析や円滑な配送手段の構築など、物流機能の最適化に役立つことが期待できます。
物流倉庫は、ただ物を置く倉庫ではなく、物流に関わるプロセス全体をアウトソーシング可能な場所です。物流サービスの拡大や業務効率化を視野に入れる人は、検討の価値があるでしょう。
代表的な物流倉庫の種類
物流倉庫には、機能や運用が異なるさまざまな種類が存在します。保管したい商品や資材の数、アウトソーシングしたい機能などにあわせて、適切な物流倉庫を選ぶことが大切です。
代表的な5種類の物流倉庫について、特徴やメリットを紹介します。
デポ
物流倉庫の中でも、デポは小型の物流拠点に分類されます。比較的狭いエリア単位で配置され、必要最低限の在庫を持つコンパクトな物流倉庫です。
デポを導入するメリットとして、消費者や店舗に届くまでのリードタイムと配送距離の短縮が挙げられます。迅速な配送に重点を置きたい人におすすめの選択肢です。
ただし、小型の物流拠点のため、保管スペースに限りがある点を頭に入れておかなければなりません。商品や資材を出荷するペースが早い場合には適しているでしょう。
ディストリビューションセンター(DC)
ディストリビューションセンターは、商品の検品や梱包、出荷など、倉庫作業の中でも基本的な役割を担うシンプルな物流倉庫です。倉庫は大型で、商品や資材の在庫数を問題なく保管できる場合が多い傾向があります。
大型トラックの搬入経路の確保やピッキングしやすい倉庫内のレイアウトも特徴です。一貫した物流業務を担う物流倉庫として、円滑な運営のための工夫が見られます。
流通加工や在庫管理等の機能は持たないことから、付加価値を期待する人には向かないでしょう。あくまでも、倉庫と物流業務としての役割を担うのがディストリビューションセンターです。
トランスファーセンター(TC)
トランスファーセンターは通過型センターと呼ばれ、荷物の検品やトラックへの搬入など、最低限の物流業務を行う物流倉庫です。荷物を別のトラックへ積み替える、クロスドッキングの場所として使用されることもあります。
基本的に倉庫で在庫を抱えず、人員やスペースのコストがかかりにくいのがメリットです。コンビニエンスストアや大型量販店などで、メジャーな物流倉庫として使われています。
プロセスディストリビューションセンター(PDC)
ディストリビューションセンターに、流通加工の機能をプラスしたのがプロセスディストリビューションセンターです。商品や資材の保管倉庫と加工工場を一体化しており、タイムロスの削減や作業効率化に役立ちます。
加工業務の内容は、生鮮食品の食品加工や家具の組み立てなど、幅広いジャンルに対応しています。自社の加工ニーズとマッチする委託先を見つけられれば、加工から出荷までをワンストップで利用でき、商品の展開速度を上げられるでしょう。
流通加工の機能を取り入れることで、物流倉庫でありながら工場のような色合いが強くなるのも特徴です。
フルフィルメントセンター(FC)
フルフィルメントセンターは、一般的な物流作業に加えて、商品の仕入れや情報管理などをフルサポートしてくれる物流倉庫です。中には、事務的な決済処理や顧客からのクレーム処理に対応するところもあります。
広範なエリアの拠点や実店舗と併合した形で、フルフィルメントセンターは取り入れられています。また、実店舗を持たないECサイトでも導入されるケースが増加傾向です。
物流業務全般を細かな点まで一本化することで、より効率的で迅速な配送を実現できるのが魅力です。
物流倉庫の業務の流れ
物流倉庫に商品が入荷してから出荷するまで、下記の業務の流れがあります。
検品 | 入荷した商品の内容や数量が正しいことを確認します。破損など不良な点がないかも合わせてチェックします。 |
入庫 | 検品した商品を倉庫内の適切な場所に入庫します。 |
ピッキング | 出荷依頼のあった商品をピッキングします。棚の配列や保管位置を工夫すると、ピックアップして運ぶ作業を効率化できます。 |
流通加工 | ニーズに合わせて商品に加工を施します。 |
梱包 | 配送中に商品が破損しないよう、商品に合わせた適切な包装・梱包作業を行います。 |
出庫 | 最終検品を行い、運送業者に商品を引き渡して配送します。 |
物流倉庫の種類によっては、流通加工が省略されたり、データ管理やカスタマーサービスが追加されたりすることがあります。
物流倉庫を利用するメリット・デメリット
物流倉庫の利用を考えたとき、メリットとデメリットの両方を把握しておくのが大切です。
物流倉庫を利用するメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- コストを削減できる
自社で倉庫を持つと必要になる、人員や維持管理費などのコストを削減できます。特に、新しく物流施設を建てると建設費や設備費などがかかるため、物流倉庫の利用で大幅なコストダウンが可能です。
- コア業務にリソースを集中できる
物流業務のトータルサポートを受けることで、コア業務にリソースを集中できます。人件費の高騰や人手不足などの問題を抱える企業にぴったりの選択肢です。結果として顧客満足度向上にもつながるでしょう。
一方、物流倉庫を利用するデメリットは、以下の2点が考えられます。
- ノウハウが蓄積されない
物流倉庫を利用すると、社内に物流ノウハウが蓄積されない可能性があります。どこまでの業務をアウトソーシングするのか、検討が必要な要素です。 - 対応にタイムラグが生まれやすい
配送の遅れや発送ミスなどが判明したときに、アウトソーシングしている業者によっては対応が送れるケースがあります。業者選定の際には事故などが発生したときの対応事例をヒアリングし、すばやいリカバリーができる委託先を選びましょう。
物流倉庫の利用にはデメリットも考えられるものの、専門家による質の高い物流サービスを受けながら、コスト削減や人手不足の解消が可能なのは大きな利点です。業務委託前にしっかり確認して、効率的な流通業務に役立てましょう。
まとめ
物流倉庫とは、商品の保管・管理にくわえて、仕分けや梱包、発送などの物流機能を備えた倉庫のことです。
物流倉庫には、小規模な物流拠点となるデポ、基本的な機能を備えたディストリビューションセンター、最低限の物流業務を行うトランスファーセンターなどの種類があります。また、プロセスディストリビューションセンターやサポートしてくれるフルフィルメントセンターなど、機能が追加された物流倉庫も存在します。
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