ECサイトを運営する際に、倉庫管理は重要な課題の1つです。自社倉庫を持つか、外部の委託倉庫を活用するかで、コストや業務の効率化に大きな差が生まれます。外部倉庫の利用は、事業の成長や変化に柔軟に対応できる手段となる一方で、物流ノウハウの蓄積やトラブル対応には注意が必要です。
当記事では、EC業界における委託倉庫の概要から、利用することで得られるメリット・デメリットについて解説します。自社倉庫と委託倉庫、どちらの選択が自社に最適かを見極めるために、各ポイントを理解しましょう。
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委託倉庫とは?ECサイト運用に外部倉庫を持つメリット・デメリット
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2024.09.26
目次
EC業界での委託倉庫・外部倉庫とは?
EC業界における委託倉庫(外部倉庫)とは、倉庫管理に関わる業務のすべてまたは一部を外部の専門業者に委託することです。具体的な業務内容としては、商品の入出庫や在庫管理、梱包作業、発送作業などが挙げられます。倉庫自体も、自社で所有する自社倉庫とは異なり、外注先の業者が運営するものを利用するのが委託倉庫の特徴です。物流倉庫業務をアウトソーシングすることから「物流アウトソーシング」と呼ばれることもあります。
委託倉庫のサービス内容は業者によって異なるものの、値段ごとにサービス内容が決まっている定額制か、委託したい業務を選択するカスタマイズ制が一般的です。委託倉庫と自社倉庫はそれぞれ一長一短があるため、双方のメリットやデメリットを加味しながら検討することが重要となります。
委託倉庫を利用するメリット
委託倉庫を利用して物流業務をプロフェッショナルに任せれば、物流品質向上が期待できる点が大きなメリットです。委託倉庫には、ほかにも以下のようなメリットがあります。
- コスト最適化につながる
- コア業務に集中できる
- 事業の拡大・縮小を柔軟に行える
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
コスト最適化につながる
自社倉庫の場合、倉庫の賃貸料や管理費、物流設備の購入や人件費など、多くの固定費が発生します。中でも人件費は、繁忙期には想定以上の費用がかかりやすい一方、閑散期には余裕を持って確保した人材が暇になってしまうなど、多くの企業が悩みやすいポイントです。固定費は売上げやビジネスの規模に関係なく常に負担することになるため、業務量の変動が大きいほど不利な要素になりやすいと言えます。
しかし、委託倉庫であれば必要なときに必要な分だけサービスを利用でき、固定費を変動費として抑えられる点が大きなメリットです。不要な固定費を削減できれば、物流コストの最適化にもつながります。
コア業務に集中できる
倉庫管理業務を外部に委託することで、売上アップや事業成長に貢献する業務に注力できるようになる点がメリットの1つです。具体的には、以下のような業務により集中できるようになるでしょう。
- 営業活動
- 商品企画、商品開発
- マーケティング活動
- 顧客対応
EC事業者の場合、ささげ業務やコールセンターといった仕事にも対応している委託倉庫に依頼すれば、コア業務により多くの時間を割けるようになります。なお、ささげ業務とは、ECサイトの運用に必要な商品撮影や画像加工、採寸、商品説明文の作成といった作業を指します。
事業の拡大・縮小を柔軟に行える
自社倉庫の場合は、倉庫のサイズがすでに決まっているため、事業の拡大・縮小や撤退をする際に多くのコストがかかります。一方、委託倉庫であれば事業の拡大・縮小や経営状況に応じて依頼内容を柔軟に変更できる点が大きなメリットと言えるでしょう。事業規模が変わらない場合でも、商品の在庫量や出荷数などに合わせて臨機応変に対応できるため、コスト管理の面でもメリットを得られます。
委託倉庫を利用するデメリット
委託倉庫にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットや注意点も存在します。
ノウハウの蓄積が難しい
委託倉庫を利用すると、社内に物流に関するノウハウを蓄積するのが難しくなる点が大きなデメリットです。自社倉庫の場合は、物流業務を行う中で、ノウハウが従業員の中に自然に蓄積されます。一方、委託倉庫の場合は従業員自身が物流の現場で経験を積む機会が減少する点に注意が必要です。
物流業務を外部委託し続ける場合は基本的に問題ないものの、今後内製化したい場合はノウハウ不足が障壁となる恐れがあります。加えて、物流業務の改善のための提案やアイデアが生まれにくくなる可能性が高いです。将来的に物流業務の内製化を見据えている場合は、自社内での教育や実習を行うなどしてノウハウの蓄積を図るとよいでしょう。
委託先によっては対応できないことがある
扱う商品の保管条件が特殊な場合や配送方法が特別な場合、委託先によっては対応できないケースがあります。例えば、以下のような業務内容は対応できる倉庫業者が限られるため注意しましょう。
- 冷蔵や冷凍が必要な商品の保管
- ハンガーにかけたままにする必要がある衣類の保管
- 家具などの大型な商品の配送
- 特定の条件を満たした場合におまけをつけるなどの発送方法
また、委託先に何らかのトラブルが生じた場合、物流業務が滞る可能性が高い上、自社で対応できることにも限りがあります。委託倉庫の利用に伴って物流に関する人員を削減している場合は、特にトラブル対応が難しくなる恐れがあるので注意が必要です。
委託先との連携がスムーズにいかない場合がある
委託倉庫を利用して業務を円滑に進めるためには、委託先と連絡を取り合う必要があります。しかし、委託倉庫は自社倉庫に比べて情報伝達にタイムラグが発生しやすい点が大きなデメリットです。
委託倉庫とのやり取りにタイムラグが生じるということは、万が一業務上のトラブルが発生した場合に、状況の把握や顧客対応が遅れる恐れがあります。委託倉庫を利用する際には、委託先と可能な限りスムーズに連携を取れるよう、情報伝達システムを導入するなどの対策を講じるとよいでしょう。
委託倉庫を選ぶ際に押さえておきたいポイント
委託倉庫を利用する際には、以下のポイントを踏まえて委託先を選ぶとよいでしょう。
倉庫の立地はどこにあるか |
物流業務においては、配送スピードが重要なポイントです。委託倉庫の立地は配送スピードに直結するため、倉庫がどこにあるかはしっかりと確認しましょう。また、立地によっては委託倉庫の料金も変わります。一般的には、首都圏の委託倉庫は需要が集中するため料金が高く、地方は地価が安いため料金も安くなりやすい傾向です。どこにある倉庫を選ぶかは、立地のよさとコストのバランスを見て決めるとよいでしょう。 |
システム導入や物流ノウハウはあるか |
委託倉庫の実績を確認し、物流ノウハウをしっかりと持った業者かを確認することも大切です。また、物流システムや在庫管理システムを導入しているか、そのシステムは自社にとっても使いやすいかという点も合わせてチェックするとよいでしょう。 |
自社のニーズにマッチした対応が可能か |
委託倉庫が、自社の事業や委託したい商品にマッチした対応が可能かも調べておくことをおすすめします。委託したい商品や業務内容と委託倉庫の強みが一致しない場合、実績のある委託倉庫でも希望通りの仕事ができない可能性があるため注意が必要です。 |
理想に近い委託倉庫を探すためには、複数の業者を比較することが有効です。複数の業者に相見積もりを取り、内容を比較検討するとよいでしょう。一社に的を絞るより時間はかかるものの、自社のニーズや予算にマッチした委託倉庫と出会える確率は上げられます。
まとめ
委託倉庫の利用は、EC事業者にとって効率的な物流管理を実現する有力な手段です。しかし、コスト削減や業務効率の向上と引き換えに、物流ノウハウの蓄積や委託先との連携に課題が生じることもあります。
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