自社製品の配送や在庫管理、企業によっては海外への輸出入まで、物流業務は商品を持つ企業にとって欠かせないものです。しかし、物流業務は専門性が高く、多くの時間とリソースを必要とします。そこで注目されているのが、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)です。
3PLとは、簡単に言うと、物流の専門家である企業に、自社の物流業務を丸ごと任せることです。倉庫での保管や商品の配送、さらには在庫管理まで、幅広い業務をアウトソーシングできます。
当記事では、3PLを導入するメリット・デメリットなどを詳しく紹介します。
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3PLとは?概要や物流業務へのメリット・デメリットを簡単に解説
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2024.10.29
目次
3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは?
3PL(サードパーティー・ロジスティクス)とは、荷主企業の物流業務を第三者が包括的に受託するサービスのことです。この第三者とは、荷主でも運輸会社でもない外部の専門業者であり、物流全体の管理や運営を行います。
3PLを利用するメリットは、業務の効率化やコスト最適化を期待できる点です。例えば、最適な輸送や保管の手段を柔軟に選定でき、荷主側の手間が軽減されます。一方で、物流業務を外部に委託すると、現場の管理が行き届かなくなるリスクもあるため、スムーズな情報伝達ができるように、しっかりとマネジメントすることが重要です。
中小企業にとっても、3PLの導入は経営効率を向上させる有力な選択肢となります。
(出典:J-Net21「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)の詳しい内容について教えてください。」/https://j-net21.smrj.go.jp/qa/productivity/Q0267.html/)
3PL事業者には大きく分けて2タイプある
3PL事業者は、自社で物流資産を持つアセット型と、外部業者の資源を活用するノンアセット型の2つに分けられます。
アセット型 | ノンアセット型 |
アセット型の3PLは、自社で倉庫、車両、人員などの物流資産を保有し、物流業務のすべてを自社で完結させるタイプです。
高い設備投資が必要となる一方で、物流プロセス全体をコントロールできるため、柔軟な対応や高品質なサービス提供が可能です。 |
ノンアセット型の3PLは、自社の物流資産は最小限に抑え、外部の運送会社や倉庫業者などの資源を活用して物流業務を行うタイプです。
初期投資が少なくて済むため、迅速な事業拡大が可能です。ただし、外部の資源に依存するため、サービス品質の安定性に課題が生じる可能性があります。 |
3PLを導入するメリット
3PLを導入するメリットは数多くあり、企業が自社の物流業務を3PL事業者に委託することで、さまざまなメリットを得られます。以下では、代表的なメリットを3つ紹介します。
物流コストを最適化できる
3PLを導入することで、企業は物流コストを効率的に管理し、コスト最適化を図りやすくなります。
3PL事業者は、物流に関する豊富な経験とノウハウを持つ専門家です。多くの企業の物流をまとめて管理し、スケールメリットを生かしたコスト最適化を実現しています。最適な輸送ルートの選定、在庫管理システムの導入など、物流プロセス全体を見直すことで、無駄を省き、効率化を図ることが可能です。
また、自社で倉庫や車両を保有する場合、維持費や減価償却費などの固定費が大きな負担となります。3PLでは、これらの資産を3PL事業者が保有するため、固定経費を変動費にすることができます。
コア業務に集中して取り組める
3PLを導入することにより、企業は物流業務を外部に委託できるので、自社のコア業務に集中できるようになります。
具体的には、これまで物流部門に割いていた人材や時間をコア業務に充てられます。コア業務に注力することで、競争優位性の強化や新たな事業展開が可能になるでしょう。例えばEC事業者であれば、商品の開発、販売促進、顧客対応といったコア業務に集中でき、競争力の高いECサイト運営の実現につながります。
また、物流業務の変動に対応するために、自社で人員や設備を増減させる必要もなくなります。
物流業務の効率・品質向上が見込める
3PL事業者は、標準化された作業手順と品質管理体制を確立しています。また、最新の物流システムや豊富なネットワークを活用して、物流全体の可視化や業務の最適化を実現しています。
場合によっては、納品リードタイムの短縮も可能となり、顧客への迅速なサービス提供を実現できるでしょう。24時間365日の対応や多品種・小ロットの扱いが可能になるため、顧客満足度の向上にもつながります。
3PLを導入するデメリット
企業が3PL導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットについても十分に理解しておくことが重要です。以下では、3PLを導入する際の主なデメリットを3つ紹介します。
現場や管理上の懸念が生じる
自社社員と3PL事業者の間で、業務内容や品質基準に関する認識のズレが生じ、ミスやトラブルにつながる可能性があります。また自社の社員は当然自社の事情に詳しいため、3PL事業者を自社の社員と比較した際に、作業品質が低いと感じる可能性もゼロではありません。
3PL事業者が自社の物流現場を十分に管理できていない場合、在庫の誤差や配送遅延が発生する恐れも一定あります。
ほかにも、顧客情報や製品情報など、機密性の高い情報を外部に委託することになり、情報漏洩のリスクが高まるので、対策をしっかり行う必要があります。
契約関連が煩雑になりやすい
3PLを導入する際のデメリットの1つとして、契約が煩雑になりやすいことが挙げられます。
物流業務は企業ごとに異なるニーズや条件があり、製品の種類や取り扱い方法、取引先によって必要な設備やサービス内容が大きく異なります。そのため、契約内容を細かく定義することが必要です。
しかし、3PLは比較的新しいサービス形態であり、標準的な契約項目や料金設定の指標が確立されておらず、契約の範囲や単価が曖昧になる場合があります。曖昧な部分があると、荷主企業と3PL事業者の間で誤解が生じ、トラブルの原因となる可能性が高くなります。
そのため、契約時には業務内容や料金体系、単価などを明確にし、詳細なルールを文書化することが必要です。
ノウハウの蓄積が難しい
物流は、輸送・保管・梱包など、専門性の高い業務が複合的に組み合わさっています。それらをアウトソースすることで、物流に関するノウハウが自社に蓄積されにくくなる点に注意が必要です。
3PL事業者と積極的に情報交換を行い、少しでも自社のノウハウとして蓄積できるような取り組みが行えるとよいでしょう。
3PLを導入する際の注意点
3PLを導入する際には、以下の点を押さえておきましょう。
- こまめにコミュニケーションを取るようにする
例えば、3PL事業者と定期的にミーティングを行い、業務状況や課題について共有しましょう。物流業務の進捗状況をこまめに報告してもらい、問題があればすぐに対応できるような体制を築くことが大切です。 - 委託する業務と自社での業務の範囲を明確にしておく
3PLを依頼する前に、まずはどの業務を3PLに委託し、どの業務を自社で行うのか、明確に洗い出しましょう。3PL事業者のパフォーマンスを評価するためのKPIなどを設定することもおすすめです。 - コストとサービスの質のバランスを確認する
複数の3PL事業者から見積もりを取り、コストとサービス品質を比較検討しましょう。その際、コストの観点だけでなく、サービス品質も重視し、バランスの取れたサービスを選ぶことが大切です。
そのほかにも、契約書の内容をしっかりと確認し、不明な点は必ず質問するようにしましょう。情報セキュリティ対策の観点も必ず確認するようにしてください。
まとめ
3PLを導入することで、企業は物流に関するさまざまな課題を解決しやすくなり、ビジネスの成長につなげられます。一方で、自社での物流ノウハウ蓄積が難しくなるなど、デメリットもいくつか存在します。長期的な視点で企業の競争力を強化していくためにも、メリットとデメリットを比較検討しながら、自社の状況に合わせて3PLの導入を検討しましょう。
ロジモプロは3PL事業者である株式会社清長が運営している発送代行サービスで、自社運営倉庫だからこそ実現できる高品質なサービスを提供しています。ご相談やお見積りは無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。