在庫管理ができていないと、商品が売り切れて顧客を逃したり、余剰在庫でコストが増大したりするなどさまざまな問題が発生します。ECサイト運営の成否を決める要素として、在庫管理の適正化は重要度の高い要素の1つです。しかし、ECサイトは実店舗と比べて在庫管理が複雑化しやすく、適正在庫の維持難易度が高い課題があります。
この記事では、ECサイトにおける在庫管理の基本から、在庫管理システムを導入する際の比較ポイントまで詳しく紹介します。在庫管理に課題を感じているEC事業者の方や、これからECサイトの運営を始めようと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
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ECサイトの在庫管理とは?在庫管理システムによる効率化方法を紹介
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2024.11.12
目次
ECサイトの運営における在庫管理とは
在庫管理とは、自社が保有する商品や原材料などを、必要なときに必要な分だけ供給できるよう管理することです。
もし在庫不足に陥ると、商品の製造や発送が遅れて顧客からの低評価などにつながります。商品ページで「在庫切れ」と表示されると、多くの顧客は購入自体をあきらめるか他サイトへ流出するため、販売機会を失ってしまうでしょう。その一方で、余剰在庫が多いと管理コストがかさみます。商品の種類によっては、消費期限やトレンドの変化などによる商品価値の低下にも注意が必要です。
在庫管理業務は、入出庫管理・返品管理・棚卸作業の3つのプロセスによって成り立っています。Excelなどで在庫管理を行う方法もありますが、在庫管理をシステム化することで大量の在庫を効率的に管理でき、適正在庫を保ちやすくなります。
ECサイト向けの在庫管理システムとは
在庫管理システムは、在庫情報や入出庫情報などをリアルタイムで管理して在庫管理をサポートするソフトウェアです。
紙やExcelなどの表を使って手作業で在庫管理を行うと時間や人件費がかかる上、ヒューマンエラーの発生リスクも上がります。在庫管理システムを使うことで在庫状況をリアルタイムで把握でき、在庫数が一定以下になれば自動通知や自動追加発注などによるスムーズな対応が可能です。特に種類が多い商品やトレンドの変化が激しい商品、そして劣化しやすい商品を扱う場合は、システム導入により余剰在庫や廃棄を減らせる可能性が高くなります。
また、他システムとの連携やデータの自動集計が可能な点も在庫管理システムの強みです。顧客や売上などに関するデータを分析して今後に役立てることで、さらなる売上アップやリピーター獲得につながるでしょう。
ECサイトが在庫管理システムを導入するメリット・デメリット
独自のポイントやクーポンを使ったり、同じ商品を複数のカート・モールで売ったりすることが多いECサイトは、実店舗と比べて在庫管理が複雑化しやすいことが特徴です。在庫管理の負担軽減には在庫管理システムが役立ちますが、システムの導入によるデメリットも無視できません。次に、ECサイトの在庫管理システム導入にともなうおもなメリットとデメリットについて解説します。
在庫管理システムのメリット
在庫管理にともなうさまざまな業務を自動化することで工数削減やヒューマンエラー防止に役立ち、社員がコア業務に集中しやすくなります。ミスや発送の遅れを減らして顧客のもとへスムーズに商品を届けることで、顧客満足度向上にもつながります。
複雑な在庫をまとめて管理できることも、在庫管理システムの大きなメリットです。例えば同じ商品を複数のモール・カートで売る、あるいはECサイトと実店舗の両方で売る場合、それぞれの在庫を別々に管理すると手間がかかります。しかし、在庫管理システムを使って一元管理することで大幅な業務効率化を実現できます。リアルタイムでの在庫確認によって在庫の過不足や品質低下を防ぎやすくなり、保管にかかる諸費用を抑えてキャッシュフロー改善に役立てることも可能です。
自社商品のSKU数が多い場合も、在庫管理システムがおすすめです。SKU(Stock Keeping Unit)とは、最小の在庫管理単位を表す物流用語です。例えばあるお菓子の味が3種類あり、かつそれぞれの味が大袋と小袋で販売されている場合、SKU数は味3種類×袋のサイズ2種類=6SKUです。もし新商品や期間限定商品が登場すれば、その分SKU数も増加します。
同じ商品でもSKUが異なれば別商品と見なされ、SKUごとの在庫管理が必要です。在庫管理システムを使うことで、SKU数の増減にも対応しやすくなるでしょう。
在庫管理システムのデメリット
在庫管理システムの導入にともない、業務フローの再構築が必要になります。社員が新しい業務フローに早く慣れるよう、マニュアル作成や教育体制の整備などで対応します。顧客情報などが漏えいしないよう、セキュリティ対策を万全にすることも欠かせません。
また、システムの導入や運用にコストがかかる点も無視できません。しかし、長い目で見れば業務効率化や人件費削減につながる可能性もあるため、自社の規模や商品の性質に合ったプランを選ぶとよいでしょう。
もし在庫管理以外の業務に課題がある場合、在庫管理システムを導入しただけで課題をすべて解決できるわけではありません。例えば梱包が不十分だったために商品が破損した場合は、システムで自動化できない梱包方法のマニュアル化や梱包資材の見直しなどの対応が求められます。
ECサイトが在庫管理システムを導入する時の比較ポイント
一口に在庫管理システムと言っても、実際にカバーできる業務の範囲や導入コストはシステムによって微妙に異なります。システム導入によるメリットを最大限に得たい場合は、扱う商品の種類や解決したい課題に合わせて選ぶことが大切です。ECサイトにおいて在庫管理システムの導入を検討する際は、次のポイントに着目しながら選ぶとよいでしょう。
自社の導入目的に合っているか
在庫管理システムを導入する際は、まず導入の目的をはっきりさせることが大切です。導入目的に合わないシステムを導入してしまうと、かえって業務が複雑になったりシステムの拡張や追加購入を余儀なくされたりする恐れもあります。運用コストの無駄を防ぐため、サイトの規模や商品の性質に見合ったプランを選ぶことも大切です。
在庫管理システムの中には、分析や販売管理機能などをカスタマイズできるものが少なくありません。会社の規模が大きい場合や在庫管理以外の業務に注力したい場合は、管理会社に保守を任せられるシステムもおすすめです。
EC特有の項目を管理できるか
ECサイトで受注や在庫を管理しつつ顧客満足度向上を図るためには、顧客ごとの購入履歴やレビュー、同梱対応、そしてクーポンなどEC特有のデータが欠かせません。
また、多くのECサイトでは商品ごとに保管場所を決めず倉庫の空いているスペースに商品を入れていくフリーロケーションを採用しています。在庫スペースを有効活用できる代わりにピッキング作業が複雑化しやすいというフリーロケーションのデメリットを補える在庫管理システムを導入しましょう。
在庫管理システムには、OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)などがあります。OMSには商品の受注や在庫を管理する機能に加えて、複数のECサイトにまたがった商品ページをまとめて管理できる機能を有しています。対して、WMSは受注・在庫管理だけでなく、および商品の保管場所(ロケーション)管理など倉庫運営に必要な各種情報を一元管理可能です。
各在庫管理システムの機能について理解した上で、必要なものを導入しましょう。
受注管理システムや配送ソフトと連携できるか
すでに自社で導入しているOMSや各モール・カートのシステムと問題なく連携できるかどうかも、システム選びの重要なポイントです。また、決済サービスや配送ソフトとの連携によって、入金確認や送り状作成、配送番号管理などの業務を自動化できます。
特に、OMSとWMSの連携は在庫管理において重要になります。OMSはECサイト側の処理を円滑にするシステムで、WMSは倉庫にある実在庫を管理するシステムです。OMSとWMSを連携させれば、WMS側の在庫が変更された際に、OMSにも即座に変更が反映されるため、システム間で在庫差異が起きるリスクを減らせます。
ただし、新しく導入するシステムの機能が既存のシステムと重複していると、かえって操作がややこしくなり、さらにコストの無駄にもつながりかねません。既存システムとの連携しやすさだけでなく、重複機能の有無にも注目してシステムを選べば、より高い費用対効果を得られるでしょう。
誤出荷を防止する機能があるか
EC事業者にとって、誤出荷は避けたいトラブルの1つです。商品の出荷忘れや紛失だけでなく、商品の種類・数量のミスや宛先の取り違えなども誤出荷に含まれます。誤出荷は顧客満足度低下や発送コストの無駄を招き、また個人情報流出によって顧客に不安を与える事態にもなりかねません。
誤出荷を防ぎたい場合は、バーコードやQRコードを使った誤出荷防止機能に対応している在庫管理システムが便利です。商品ごとにコードを登録しておき、ピッキングや検品の際に商品コードを読み取って受注データと相違がないか確認することで、ヒューマンエラーを防ぎやすくなります。
まとめ
ECサイトに在庫管理システムを導入する場合、どのような課題を解決するために導入するのか明確にした上で、サイトの規模や商品の性質に合ったものを選びましょう。また、顧客単位の情報管理などのECサイト特有の項目に対応しているか、受注管理システムや各モール・カートのシステムと問題なく連携できるかは要チェックです。また、誤出荷防止機能がある在庫管理システムを選んでください。
ただし、在庫管理システムの導入だけでは、ECサイトの業務課題のすべてを解決できません。在庫管理だけでなく、入出庫や梱包、納品代行などに課題を抱えている場合は、それらの業務をサポートしてくれる業者にアウトソーシングするとよいでしょう。
ロジモプロは、EC・通販向け物流業務のノウハウを18年以上積み上げてきた企業が運営している発送代行サービスです。販売チャネルを問わずご利用が可能で、専用システムの導入も不要、かつギフトラッピング対応など柔軟で豊富なオプションサービスが揃っています。
在庫管理や物流関連業務に課題を抱えているECサイトの方は、ぜひロジモプロに一度ご相談ください。