不良在庫の例としては、定価での販売が困難になった商品、流行が過ぎた商品、品質が劣化した商品、パッケージや仕様が変更された旧モデル品などが該当します。不良在庫は保管コストがかかり続ける上、スペースも占有してしまうため、企業にとって大きな負担となります。
不良在庫を防ぐには、適切な需要予測に基づく発注管理、定期的な在庫状況の確認、早期の値引き販売などの対策が必要です。
当記事では、不良在庫の意味や、不動在庫・過剰在庫との違い、不良在庫が発生する原因と減らすための具体的な対策や処分方法について詳しく解説します。
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不良在庫とは?不動在庫・過剰在庫との違いや処分方法を解説
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2024.11.12
目次
不良在庫とは?
不良在庫とは、売れる見込みがなく、経済的損失につながる可能性がある在庫のことです。企業にとって不良在庫は、キャッシュフローを悪化させる要因となり、最終的には経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
不良在庫に該当する商品は以下のようなものがあります。
- 過剰生産・仕入れによって売れ残った商品
生産や仕入れの見込みが外れ、需要に対して供給が過剰となった商品です。 - 流行がすぎた商品
トレンドが変化したために、消費者からの需要が減少した商品です。 - 型落ち商品
新しいモデルやバージョンの登場によって、旧型の商品が売れ残ることがあります。 - 賞味期限切れの商品
食品など、賞味期限がすぎてしまったために販売ができなくなった商品です。 - 不良品・欠陥品
品質に問題があり、販売できない商品です。
不良在庫があると、その在庫を管理するために人件費や光熱費が発生します。また、保管スペースを圧迫し、ほかの有効な在庫を置くスペースを奪うことにもつながります。
不良在庫と不動在庫・過剰在庫との違い
不良在庫は損失が見込まれる在庫、不動在庫は文字通り「動かない在庫」、過剰在庫は在庫が多すぎて売れない在庫です。
以下では、それぞれの違いについて詳しく説明します。
不動在庫との違い
不良在庫と不動在庫は、どちらも売れ残っている在庫を指します。
不動在庫 | |
意味 | 長期間にわたり売れずに倉庫に滞留している在庫のことです。 |
原因 | 需要の減少、競合製品の出現、販売戦略のミスなど。 |
特徴 | 品質自体に問題ない場合、適切な販売戦略や価格調整によって、まだ売れる可能性が残されています。 |
不動在庫は、一定期間以上売れていない在庫を指し、需要の変化や市場環境の変動によって販売が難しくなった商品のことです。場合によっては、不良在庫とほぼ同じ意味で使われるケースもあります。
過剰在庫との違い
過剰在庫の特徴は、以下の通りです。
過剰在庫 | |
意味 | 需要を大きく上回る在庫のことです。 |
原因 | 需要予測の誤り、過剰発注など。 |
特徴 | 品質自体は問題ない場合が多いため、まだ売れる可能性が残されています。 |
過剰在庫とは、実際の需要を超えて仕入れや生産が行われた在庫のことです。
不良在庫の処分方法
不良在庫の処分方法として、主に値引き販売、廃棄、専門業者による買取の3つがあります。
- 値引き販売する
通常価格よりも低い価格で商品を販売し、在庫を早期に処分する方法です。消費者が価格に敏感な場合に有効で、売れ残りを減らすことが期待できます。ただし、頻繁に値引き販売を行うと、ブランドイメージの低下や利益率の圧迫につながる可能性があるため、戦略的に実施する必要があります。
- 廃棄する
廃棄する方法は、売れない商品や品質が劣化した在庫を処分する際に用いられます。食品や医薬品など、賞味期限や使用期限がある商品では、廃棄が必要です。直接的に在庫を減らせますが、コストが発生し、環境への影響も考慮しなければなりません。
- 専門業者に買取してもらう
不良在庫を専門に扱う業者に買い取ってもらう方法です。迅速に在庫を処分し、一定の収益を得ることが可能です。ただし、買取価格は通常、原価よりも低く設定されるため、企業の利益が圧迫される場合があります。また、業者選定にあたっては信頼性の確認が重要です。
不良在庫処分においては、法律や規制に注意することが必要です。特に廃棄物処理に関する法令を遵守し、適切な方法で処分しなければなりません。また、在庫管理の改善を図り、将来的に不良在庫が発生しないような仕組みを構築することも重要です。
不良在庫を発生させないための予防策
不良在庫を発生させないようにするには、適正在庫をキープすることや、在庫の回転率を高めることが重要です。そのためには、正確な需要予測、在庫管理システムの導入、発注量の最適化など、さまざまな対策を組み合わせる必要があります。
適正在庫をキープする
適正在庫とは、商品を不足させず、かつ過剰に在庫を抱えない、最適な在庫量のことです。適正在庫をキープすれば、不良在庫が発生するリスクを減らせます。
過剰な在庫を抱えると、商品が古くなったり品質が劣化したり、また流行の変化で売れ残ったりする可能性が高まります。適正在庫をキープできれば、このような不良在庫の発生を未然に防ぐことが可能です。また、過剰な在庫を抱えると、ほかの事業に回せる資金が減ってしまいます。適正在庫の維持は、資金の回転率を向上させ、企業の財務体質を健全化できます。
適正在庫をキープするためには、過去の販売実績や季節変動、経済状況などを分析し、将来の需要を正確に予測することが重要です。AIを活用した予測モデルを導入する企業もあります。リアルタイムで在庫状況を把握できるシステムを導入し、在庫の過不足を早期に検知できるようにするとよいでしょう。
在庫の回転率を高める
在庫回転率とは、一定期間にどれだけ多くの商品が売れて入れ替わったかを示す指標です。商品が倉庫で眠っている時間が短いほど、在庫回転率は高いと言えます。
在庫回転率が高いということは、商品の売れ行きがよく、倉庫に長く滞留しないという意味です。そのため、商品が古くなったり、流行がすぎたりして不良在庫となるリスクが減ります。
在庫回転率を高めるには、適正在庫をキープする方法が有効です。また、サプライヤーとの関係を強化し、リードタイムの短縮や小ロット発注に対応すれば、必要なときに必要な量だけを仕入れられる体制を整えられます。
在庫管理業務をアウトソーシングする
在庫管理業務のアウトソーシングとは、自社の在庫管理業務の一部またはすべてを、専門の物流会社などに委託することです。
物流の専門業者に任せれば、より高度な在庫管理システムやノウハウを活用し、在庫管理の効率化を図れます。また、各企業の運用状況にもよりますが、人件費や倉庫費、システム導入費などの固定費を削減できる可能性があります。
専門業者のノウハウによって、適切な在庫レベルを維持することで、過剰在庫や不足在庫の発生を防止できるのがメリットです。専門業者を選ぶ際には、実績やサービス内容、セキュリティ対策などを慎重に比較検討するようにしましょう。
まとめ
不良在庫とは、長期間倉庫に保管されたまま販売や使用の見込みが低い在庫のことです。販売不振や過剰発注などが原因で発生し、企業の資金繰りや収益性に悪影響を与えます。
在庫管理業務のアウトソーシングは、不良在庫の発生防止だけでなく、物流業務の効率化につながります。ただし、メリットだけでなくデメリットも理解し、自社の状況に合わせた検討が重要です。
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