FBAとは「フルフィルメント by Amazon」の略語であり、Amazonに商品を出品する販売事業者に代わって、Amazonが商品管理や発送業務を行ってくれるサービスです。
FBAを利用するには各種手数料が発生するものの、上記のように商品管理や発送業務をAmazonに任せられるため、販売事業者は業務負担を減らせるメリットがあります。
当記事では、FBA(フルフィルメント by Amazon)の概要やメリット・デメリットにくわえて、利用時にかかる手数料や注意点などを解説します。
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AmazonのFBAとは?メリット・デメリットや仕組みを解説
- #EC物流
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2024.05.24
目次
FBA(フルフィルメント by Amazon)とは?
FBA(フルフィルメント by Amazon)とは、Amazonで商品を出品する販売事業者の代わりに、Amazonが商品管理や発送業務を行うサービスです。
そもそもフルフィルメントとは、ECサイトでの顧客の商品注文から配送までにおいて、ショップ側が行う業務全般を指します。注文処理・在庫管理・出荷指示・梱包・出荷・配送・代金回収などが、フルフィルメントに該当する業務です。
(出典:フルフィルメント by Amazon(FBA)「時間の節約だけではない、FBAはメリットがいっぱい」/https://sell.amazon.co.jp/fulfill/fulfillment-by-amazon)
FBAの仕組み
FBAを利用するときは、下記の流れでAmazonに商品管理・発送業務を代行してもらえます。
1 | 商品を調達し、Amazonの倉庫に商品を納品する。 |
2 | Amazonが商品を保管する。 |
3 | 顧客が商品を注文して、注文情報をAmazonが受け取る。 |
4 | Amazonが注文商品を発送する。 |
1~4の中で、ショップ側が行う手続きは最初の「商品を調達し、Amazonの倉庫に商品を納品する」ことだけです。調達した商品をAmazonの倉庫に納品した後は、商品管理から商品発送までをAmazonが行ってくれます。
また、返品対応やカスタマーサービスが必要となったときにも、FBAではAmazon側が対応してくれる点が特徴です。
FBA(フルフィルメント by Amazon)のメリット
FBAの利用には、商品管理や発送業務をAmazonに代行してもらえる点だけでなく、ほかにもさまざまなメリットがあります。
以下では、FBAの主なメリットを3つ紹介します。
Amazonプライム商品として販売できる
FBAを利用して出品した商品は、「primeマーク」の付いたAmazonプライム商品として販売できます。
Amazonプライム商品は、顧客が商品を注文するときにお急ぎ便やお届け日時指定便を利用可能です。通常配送よりも配送スピードが大幅に短縮されて、商品をすぐに入手したい顧客を中心に購入の決め手になり得ます。
また、Amazonの商品検索ページにおいて、Amazonプライム商品は検索結果の上位に表示されやすくなります。商品露出の機会が増えることで、売上向上をより目指しやすくなるでしょう。
カスタマーサービスや返品管理の業務負担が減る
FBAを利用するとカスタマーサービスや返品管理もAmazonが行ってくれるため、カスタマー対応にかかっていた業務負担が減ります。
カスタマー対応は顧客満足度に影響する要素です。可能であれば24時間365日体制を整える必要があるものの、担当者への負担が増える点が課題となっています。
FBAでカスタマー対応もAmazonに代行してもらえれば、自社でカスタマー対応の体制や人員配置をする必要はありません。FBAのカスタマー対応は24時間365日体制であり、顧客満足度を高めることも可能です。
FBAでさまざまな業務を代行してもらって浮いたリソースを使って、コア業務に集中できる業務環境を構築できます。
Amazonサービスを活用してビジネス拡大を図れる
FBAにはさまざまなAmazonサービスが用意されていて、活用することで自社のビジネス拡大を図れます。
FBAで利用できる主なAmazonサービスは、下記の4つです。
FBA海外配送 | 67か国以上の国・地域に対して、追加料金なしで海外販売ができます。 |
FBA定期おトク便 | 定期購入を選択した顧客が、商品を割引価格で購入できます。 |
マルチチャネルサービス | 自社のWebサイトやAmazon以外のECサイトで販売する商品も、Amazonでフルフィルメント代行をしてもらえるサービスです。 |
なお、小型・軽量な商品の配送コストを削減できる「FBA小型軽量商品プログラム」は2024年4月1日に廃止されました。2024年5月時点では、1,000円未満の商品に対しては新しいFBA手数料体系に改定されています。
FBA(フルフィルメント by Amazon)のデメリット
FBAにはさまざまなメリットがある反面、デメリットもいくつかあります。FBAの利用を検討している方は、メリットだけでなくデメリットも把握することが大切です。
FBAを利用する場合のデメリットを3つ紹介します。
各種手数料が発生する
FBAを利用するには、配送代行手数料・在庫保管手数料などの各種手数料が発生します。
各種手数料の金額は、FBAで販売する商品数や商品のサイズ・重量によって変動します。FBAを通じて商品販売する頻度が多いほど手数料の総額がかかるため、費用対効果の検証が必要です。
Amazonが提供している「FBA料金シミュレーター」を利用すると、FBAの手数料計算や費用対効果の検証を素早く行えます。
自社の倉庫・配送設備を利用した場合のコストや、FBA以外のフルフィルメント業務代行サービスに委託した場合のコストとも比較することがおすすめです。
Amazon倉庫内の商品状態を確認できない
FBAを利用する際は商品をAmazon倉庫に送り、商品保管もAmazonに委託します。Amazonに送った後は、。倉庫内の商品状態を確認できない点がデメリットです。
顧客住所への発送前にも自社で商品状態を確認できず、商品状態が不明のまま発送することになります。もしも商品に傷や汚れがあれば、商品の返品やショップの低評価につながるでしょう。
可能な限り商品状態を良くするには、自社で商品の検品を十分に行った上で、Amazonに納品する必要があります。
他店との差別化が難しい
FBA商品は、Amazonブランドで販売されるようになります。Amazonブランドの商品は顧客に購入されやすくなる反面、ショップ名があまり目立たなくなり、他店との差別化が難しくなる点はデメリットとなるでしょう。
また、FBAではAmazonへの納品に使用するダンボールについて細かいルールが定められています。オリジナル資材の使用やダンボールの加工ができないため、梱包による他店との差別化も困難です。
FBA(フルフィルメント by Amazon)にかかる手数料
FBAのデメリットとして紹介した各種手数料は、大きく分けて「配送代行手数料」「在庫保管手数料」「その他の費用」の3つがあります。
それぞれの手数料について、具体的にどのような目的でかかる料金なのかを解説します。
(出典:フルフィルメント by Amazon(FBA)「出品にかかる費用」/https://sell.amazon.co.jp/pricing)
FBA配送代行手数料
FBA配送代行手数料は、FBAで販売した商品1点あたりにかかる発送・配送業務の手数料です。
FBA配送代行手数料の金額は、4種類あるサイズ区分によって異なります。サイズ区分の条件は下記の通りです。
サイズ区分 | 商品寸法(長さ×幅×高さ)と重量 | 手数料の範囲 |
小型 | 25cm×18cm×2cm以下で、かつ250g以下 | 222円~288円 |
標準 | 45cm×35cm×20cm以下で、かつ9kg以下 | 252円~603円 |
大型 | ・寸法が45cm×35cm×20cmを超えていて、95cm×70cm×51cmより小さい ・もしくは重量が9kgを超えていて、40kg以下 |
523円~1,756円 |
特大 | 95cm×70cm×51cmを超えていて、かつ重量が50kg以下 | 2,689円~5,625円 |
(出典:Amazon出品サービス「料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター」https://sell.amazon.co.jp/pricing#fulfillment-fees)
(出典:Amazonセラーセントラル「Amazonへの個口配送」https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/G200280260?locale=ja-JP)
4種類のサイズ区分は、3辺の寸法合計と重量、商品の価格でさらに細かく区分されています。
FBA在庫保管手数料
FBA在庫保管手数料は、Amazon倉庫に商品在庫を預けている場合にかかる保管費用です。
FBA在庫保管手数料の一般的な金額は、下記の通りです。なお、表中の「指定の数式」は「商品サイズ(cm3)/10cm×10cm×10cm×保管日数/当月の日数」を指します。
サイズ区分 | 保管時期 | |
1月~9月 | 10月~12月 | |
小型・標準 | 5.676円 ×指定の数式 | 10.087円 ×指定の数式 |
大型・特大型 | 4.370円 ×指定の数式 | 7.760円 ×指定の数式 |
(出典:Amazon出品サービス「料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター」https://sell.amazon.co.jp/pricing#fulfillment-fees)
また、「服&ファッション小物」「シューズ&バッグ」カテゴリーの商品では、FBA在庫保管手数料の金額は下記のように計算します。
サイズ区分 | 保管時期 | |
1月~9月 | 10月~12月 | |
小型・標準 | 3.10円 ×指定の数式 | 5.50円 ×指定の数式 |
大型・特大型 | 3.10円 ×指定の数式 | 5.50円 ×指定の数式 |
(出典:Amazon出品サービス「料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター」https://sell.amazon.co.jp/pricing#fulfillment-fees)
特に10~12月にFBAを利用すると、FBA在庫保管手数料が高くなる点に注意してください。
その他の費用
その他の費用として3つの手数料が発生します。
FBA長期在庫保管手数料 | Amazon倉庫で商品を長期保管している場合にかかる手数料です。保管日数が271~365日の場合と、365日を超えた場合とで、2段階の手数料が設定されています。 |
納品不備受領作業手数料 | Amazon倉庫への商品の納品時、ラベル貼り付けや梱包などの問題があった場合に請求される手数料です。 |
返送/所有権の放棄手数料 | Amazon倉庫に保管している商品を返送、もしくは廃棄する場合にかかる手数料です。 |
なお、商品返品時の送料を無料にする場合にかかっていた「購入者返品手数料」は2023年4月1日より廃止されています。
(出典:Amazonセラーセントラル「【重要】 2023年Amazon.co.jp販売手数料とFBA手数料の改定について」/https://sellercentral.amazon.co.jp/seller-forums/discussions/t/084c9e9a61afb2ed458adf2601785366)
FBA(フルフィルメント by Amazon)の利用・納品手順
FBAの利用にあたっては、FBAで販売する商品をAmazonに納品する必要があります。
Amazonへの商品の納入手順を簡単に紹介すると、下記の通りです。
1 | FBAをセットアップ |
2 | 商品を登録する |
3 | 納品プランを作成する |
4 | ラベル印刷・貼り付け |
5 | 荷造りする |
6 | 配送ラベルの印刷・貼り付け |
7 | Amazonに商品を納品 |
(出典:フルフィルメント by Amazon(FBA)「FBAをはじめよう」https://sell.amazon.co.jp/fulfill/fulfillment-by-amazon#FBAをはじめよう)
「Amazonに商品を納品」まで終えれば、ショップ側の手続きは完了です。後はAmazon側が商品管理や出荷・発送などを行ってくれます。
以下では、Amazonに商品を納品する手順を詳しく解説します。
FBAをセットアップ
最初に、FBAをセットアップします。セットアップは、下記の流れで進めましょう。
1 | Amazon出品用アカウントを作成する。 |
2 | セラーセントラルにログインする。 |
3 | FBAの利用申請を行う。 |
なお、FBAのセットアップを行うには、主に下記の情報・書類が必要です。
- 電話番号
- メールアドレス
- 顔写真入りの身分証明書
- クレジットカード情報
- 各種明細書
など
法人の場合は、法人番号といった会社情報も求められます。
必要書類を手元に揃えておき、スムーズにセットアップを進めましょう。
商品を登録する
FBAのセットアップが完了したら、商品を登録します。
Amazonですでに同じ商品が販売されている場合は、簡単な手順で商品登録が可能です。
1 | 商品ページの「マーケットプレイスに出品する」を選択する。 |
2 | 「出品情報」を入力する。 |
一方でオリジナルの自社商品など、Amazonで販売されていない商品を出品する場合は、セラーセントラルで商品のカタログ情報を一から作成します。
商品画像・製品コード・商品説明などを入力する必要があるため、あらかじめ用意しておくことがおすすめです。
納品プランを作成する
次に納品プランを作成します。FBAの納品プランは「納品する対象商品」「納品個数」などの設定です。
納品プランは、下記の手順で作成します。
1 | セラーセントラルのメニューを開き、「在庫」から「在庫管理」を選択する。 |
2 | 納品する商品にチェックを入れて、「選択中の商品を一括変更」から「在庫商品を納品/補充する」を選択する。 |
3 | 確認画面に問題がなければ「はい、続けます」から「在庫を納品する」をクリックする。 |
4 | 商品の「必要な梱包準備とラベルの貼付の詳細」をクリックし、梱包の要不要とラベル貼りの方法を選択する。 |
5 | 納品する数量を入力して「梱包準備完了」から「個別の商品の梱包」をクリックする。 |
手順中の4で選択する梱包の要不要は、基本的に「梱包不要」を選択するとよいでしょう。
ラベル印刷・貼り付け
納品プランを作成する際に、商品ラベル貼り付けを「出品者」が行うか、「Amazon」が行うかを選択できます。
※Amazonの「商品ラベル貼付サービス」には利用条件があります。
出品者自身がラベル貼り付けを行う場合は、ラベルのPDFデータを印刷し、商品に貼り付けましょう。
商品にバーコードが表示されている場合は、バーコードを完全に隠すように商品ラベルを貼り付ける必要があります。
荷造りする
納品する商品を輸送箱に梱包します。適切な輸送箱や緩衝材を使用して、商品に傷が付かないように荷造りしましょう。
また、荷造りをする際もセラーセントラルの操作が必要です。
1 | 「個別の商品の梱包」画面で、輸送箱の個数を選択する。 |
2 | 納品に使用する輸送箱のサイズ・重量を入力し、「梱包情報を確認」をクリックする。 |
3 | 確認画面をチェックし、問題がなければ「確定して続ける」をクリックする。 |
4 | 出荷の日程と配送モードを選択する。 |
5 | 配送業者を選択し、問題がなければ「請求額を承認して出荷通知を送信」をクリックする。 |
操作が完了すると「輸送用ラベルを印刷」画面が表示されます。
配送ラベルの印刷・貼り付け
配送ラベルを印刷して、輸送箱に貼り付ける作業です。
1 | 「輸送用ラベルを印刷」画面で、印刷設定を確認した上で「印刷」をクリックする。 |
2 | 印刷された配送ラベルを輸送箱に貼り付ける。 |
なお、配送業者でヤマト運輸を利用する場合は、専用配送ラベルに印刷する必要があります。専用配送ラベルは、ヤマト運輸の営業所やメール・電話での依頼で入手できるため、事前に入手しましょう。
日本郵便を利用する場合は、通常のA4用紙に印刷した配送ラベルを使用できます。
Amazonに商品を納品
配送ラベルの貼り付けまで準備が完了したら、Amazonに商品を納品します。Amazon側から受領確認の通知が届けば、FBAで商品を販売する準備は完了です。
なお、商品発送時に配送業者から受け取った追跡番号を使えば、セラーセントラルで配送状況の確認も行えます。商品が納品されたか気になる方は、セラーセントラルで確認するとよいでしょう。
FBA(フルフィルメント by Amazon)利用時の注意点
FBAを利用するにあたっては、いくつかの気を付けなければならない点があります。
FBA利用時の注意点は、下記の3つです。
FBA出品禁止商品がある |
FBAには出品禁止商品があります。主な例をいくつか紹介します。 ・日本の法律や規格を満たしていない商品 FBAの出品禁止商品の中には、自社配送であればAmazonで商品出品ができるものの、FBAを利用する場合は出品できないケースもあります。 FBAを利用する前に、販売したい商品が出品禁止商品に該当しないかを確認することが大切です。 |
(出典:Amazonセラーセントラル「FBA禁止商品」https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/201730840)
Amazonの梱包ルールに従う必要がある |
Amazonに商品を納品する際は、Amazonの梱包ルールに従う必要があります。
梱包ルールは、輸送箱のサイズ・重量はもちろん、使用できる緩衝材の種類や利用できる配送サービスまで決められています。特に輸送箱については、「複数のダンボールをつないで1つの箱にする」といった箱の加工は禁止されている点に注意してください |
賞味期限・消費期限ありの商品には別途条件がある |
食品・サプリメント・ペットフードといった賞味期限・消費期限ありの商品は、納品について2つの別途条件があることを押さえましょう。
・Amazon倉庫の到着時点で、賞味期限・消費期限までに「60日以上」があること なお、納品時点で賞味期限・消費期限まで45日以下の商品は、原則としてAmazon側で廃棄されます。 |
(出典:Amazonセラーセントラル「要期限管理商品および温度管理が必要な商品」https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/G201003420)
FBAのルールに違反すると、納品しようとした商品が返送されたり、廃棄されたりする可能性があります。
最悪の場合は、出品者のアカウントが停止されるリスクもあるため、紹介した注意点やルールを守って商品の梱包・納品を行うことが重要です。
まとめ
FBA(フルフィルメント by Amazon)とは、Amazonが商品管理・発送といった業務を代行してくれるサービスです。手数料がかかるといったデメリットはあるものの、業務負担の軽減やビジネス拡大が期待できます。
株式会社清長が提供している発送代行サービス「ロジモプロ」は商品の発送代行サービスはもちろん、AmazonFBAへの納品代行サービスにも対応しています。
ロジモプロを導入することでAmazonでの販売分はAmazonFBAへ納品、それ以外のECモールやECカートの販売分はロジモプロから出荷など、柔軟な対応をすることが可能です。
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