滞留在庫とは、仕入れた商品が販売や出荷されずに一定期間倉庫などに保管され続ける在庫のことを指します。滞留在庫として扱う期間は企業や業界によって異なりますが、数か月から数年の範囲で考えられることが一般的です。
滞留在庫は、新たな商品の仕入れや投資機会を妨げる要因にもなるので、企業として適切に対策を講じなければなりません。
当記事では、滞留在庫とは何かといった点から、滞留在庫が発生する原因、滞留在庫への対処法まで紹介します。
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滞留在庫とは?余剰在庫との違い・対処法を詳しく解説
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2024.05.10
目次
滞留在庫とは?
滞留在庫とは、仕入れ後に販売・出荷されることなく倉庫に保管され、一定期間が経過した在庫のことです。滞留在庫の定義には広義と狭義があり、当記事では主に広義の意味で説明します。
広義の滞留在庫は、単に長期間倉庫に残っているもの全般を指す言葉です。一方、狭義では販売の見込みが乏しくなった在庫、例えば賞味期限が迫った食品やパッケージに損傷がある商品などが含まれます。
滞留在庫は、保管期間の定義が企業や商品によって異なり、数か月から数年と幅広い期間が見られます。販売されずに滞留する在庫は、流行遅れや商品の劣化により、仕入れ価格以上での販売が困難になっている傾向です。また、管理や保管にかかるコストも増加するため、滞留在庫を未然に防ぐための事前対策や、滞留在庫が発生した場合の適切な対応が必要です。
滞留在庫・余剰在庫・不良在庫の違い
滞留在庫は、仕入れた後に一定期間売れずに倉庫に保管され続ける在庫を指します。
余剰在庫は、需要を見積もりすぎて発注した結果、予想以上に売れ残ってしまい、倉庫に保管され続けている在庫です。「スリーピングストック」や「休眠在庫」とも呼ばれ、将来的に売れる見込みがあるため、直接的なリスクは比較的少ないと言えます。余剰在庫が長期間売れずに保管され続けた場合、滞留在庫に転じることがあります。
不良在庫は、物理的な損傷や品質不良など、品質に問題があるために売れない在庫のことです。狭義の滞留在庫と重なる部分がありますが、不良在庫は品質上の問題にフォーカスしている文脈で使われる言葉です。
滞留在庫が発生する原因
滞留在庫が発生する原因は多岐にわたりますが、主要なものは以下の通りです。
(1)需要予測の誤りによる過剰発注が起きているため |
過剰な商品発注は、売上予測の誤りや発注プロセス上のミスから生じることが多いです。特に、市場需要の過大評価や、新規店舗開設時・新商品販売時の売上の楽観視などは原因になりやすく、予想外に商品が余ることがあります。これを防ぐためには、よりリアルタイムなデータに基づく精度の高い需要予測と、発注プロセスにおける厳密なチェック体制の構築が大切です。 |
(2)部門間の連携が不足しているため |
製造、販売、経理などの部門間で情報共有や協力が不足している場合、それぞれの部門が異なる目標を持って在庫管理を行うため、滞留在庫が生じるリスクが高まります。例えば、機会損失を防ぐために在庫を余分に持っておきたい部門と、反対に過剰在庫を恐れる部門があるような場合では、密に連携しないと在庫管理がうまくいかなくなるでしょう。部門間で目標を共有し、情報を透明にすることで、より効率的な在庫管理が可能になります。 |
(3)精密な在庫管理が行えていないため |
在庫の正確な把握ができていないと、必要以上の商品を注文してしまうことがあります。また、定期的な棚卸しを行わないことで、実際には在庫が足りているにもかかわらず不足していると誤認し、重複発注をしてしまうケースもあります。これを防ぐには、定期的な在庫チェックと、在庫管理システムの活用が効果的です。 |
滞留在庫を抱えるデメリット
滞留在庫を抱えるデメリットは、主に以下の通りです。
(1)財務へ悪影響を与える |
滞留在庫は、販売できないために資金を回収できず、企業の資金繰りを悪化させます。仕入代金の支払い、人件費などの支払い、設備投資など、必要な資金繰りが滞り、事業運営に支障をきたす可能性があります。また、在庫を保有することは、その商品のコストだけでなく、保管費用や管理コストも伴います。これらの在庫が売れ残ると、資金の回収が遅れ、キャッシュフローに悪影響を及ぼすことになるでしょう。さらに、在庫価値の減少(時価低下)により、損失を計上する必要が出てくる恐れもあります。 |
(2)保管スペースの無駄遣いとなる |
保管スペースは有限です。滞留在庫を抱えると、その分だけ新しい在庫やより売れる商品の保管スペースが減少します。また、過剰な在庫によって、倉庫内の整理をする際にも煩雑になり、作業効率の低下を招くでしょう。効率的な倉庫管理が行えず、結果として追加の保管コストが発生することも考えられます。 |
(3)商品価値が低下する |
本特にファッションやテクノロジー製品のように、トレンドや技術進化が早い業界では、時間が経過するにつれて商品の魅力や価値が低下します。滞留在庫が長期間にわたって保管されていると、最終的には売れなくなるか、大幅な値下げを余儀なくされる可能性があるでしょう。これにより、利益率が低下し、企業の収益性に悪影響を及ぼすことになります。 |
滞留在庫への対処法
滞留在庫を効果的に処理する方法はいくつか存在しますが、その中でも特に実践的で効果的な手段を3つ紹介します。滞留在庫の発生をなるべく防ぎ、企業資源の最適化を図るためにもぜひ参考にしてください。
セール品・アウトレット品として販売する
滞留在庫への対処法として、「セール品・アウトレット品として販売する」という方法があります。価格を下げることで消費者の購買意欲を刺激し、在庫を速やかに減らすことが目的です。
特に商品の価値が時間とともに低下する傾向にあるファッションや電化製品の業界で効果的です。セールやアウトレット販売を通じて、商品が時代遅れになる前に手放すことができ、収益につなげることが可能です。
また、この方法は新たな顧客層を引きつける機会ともなり得ます。値下げされた商品を求めて来店した消費者が、他の定価商品にも関心を持ち、将来的なリピーターになる可能性があるでしょう。ただし、セールを頻繁に行うと、消費者が定価での購入をためらう可能性があるため、実施のタイミングや範囲には注意が必要です。
業者に買い取りを依頼する
在庫処分専門の業者や他の小売業者に滞留在庫を一定の価格で買い取ってもらうことで、企業は即座に在庫を減らし、一部の資金を回収することが可能です。
メリットは、在庫を迅速に処分できる点と、内部でのセールやアウトレット販売を行う手間を省けることにあります。さらに、買い取ってもらった在庫が新たな市場で販売されれば、商品が廃棄されることなく有効利用されるため、環境にも配慮した対策と言えるでしょう。
ただし、買い取り価格は通常、商品の原価や市場価格よりも低く設定されるため、利益率は低下します。そのため、在庫を速やかに処分し、資金を確保したい場合に適していますが、利益の最大化を目指す場合には別の戦略を検討する必要があります。
廃棄処分する
他の手段で在庫を減らすことができなかった場合や、商品がすでに使用や販売ができない状態にある場合、滞留在庫の処理方法として最終手段になるのが廃棄処分することです。廃棄処分の選択が向いている場合は、製品が時代遅れになっていたり、劣化や損傷が進んでいたりする場合や、保管コストがその価値を上回ってしまっている場合などです。廃棄することで、倉庫のスペースを有効活用できるようになり、新しい在庫の保管や管理が容易になります。
しかし、廃棄処分にはコストがかかり、企業の利益に直接的な打撃を与える上、環境への影響も考慮する必要があります。そのため、廃棄は最後の手段として検討し、可能であれば再利用やリサイクル、寄付など他の選択肢を優先することが望ましいです。企業は、在庫管理の改善や他の処分方法を検討するなど、廃棄が生まれる状況を極力避けるような努力を継続的に行っていく必要があるでしょう。
まとめ
滞留在庫を最小限に抑えるためには、正確な需要予測はもとより、効率的な在庫管理システムの導入や、定期的な販売戦略の見直しなど、さまざまな対策が求められます。
特に滞留在庫の発生防止には、在庫管理・倉庫管理の効率化が欠かせないため、この点に課題がある事業者様は物流代行サービスの活用も検討するとよいでしょう。
株式会社清長が提供している発送代行サービス「ロジモプロ」に発送業務を委託していただく事で在庫が正しく管理されるようになり、面倒な倉庫管理からも解放されます。
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