デバンニングは、単なる荷降ろし作業ではなく、輸入業務全体において重要な役割がある作業です。デバンニングが適切に行われないと、物流の遅延・荷物の破損・コストの増加…といった諸問題が発生する可能性があります。デバンニング作業に時間がかかると、人件費や作業費などのコストが増加します。また、納期遅延は顧客満足度の低下や売上機会の損失にもつながるでしょう。
当記事では、デバンニングの作業手順や、デバンニングの課題点、効率的で安全なデバンニングのポイントなどについて、詳しく解説します。
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デバンニングとは?作業手順や課題点・効率化するポイントを解説
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2024.05.10
目次
デバンニングとはコンテナから荷下ろしする作業のこと
デバンニングとは、貨物をコンテナから取り出す作業を指します。複数人のチームによって手作業やフォークリフトなどの機械を用いて実施されます。たとえば輸出貨物の場合、デバンニングは、輸入通関が完了した後に保税蔵置場などで行われ、その後荷主に荷物が引き渡されることが一般的です。
一方で、バンニングはデバンニングの逆プロセスであり、貨物をコンテナに積み込む作業を指します。同じく輸出貨物の場合、バンニングは輸出通関前に保税地域内の港頭地区や保税蔵置場で行われ、海外への輸送のために荷物をコンテナに配置することが目的です。
デバンニングの作業手順
デバンニングの作業手順は、主に以下の通りです。
1 | 環境整備 トレーラーやコンテナと地面の高低差を解消し、貨物の搬入や搬出がスムーズに行えるようにするため、スロープを設置します。また、フォークリフトや台車など、荷降ろしに必要な機材を準備します。 |
2 | コンテナを開ける コンテナの封印番号とコンテナ番号を確認し、間違いがないことを確かめた後、封印を専用のカッターで慎重に切断します。コンテナを急に開けることは避け、貨物が飛び出したり倒れてきたりするリスクを防ぐため、ゆっくりと片側ずつ開けます。 |
3 | 貨物の状態確認 コンテナを開けたら、最初に貨物の状態を外観上から確認します。目に見える汚れや傷、特に最下段の水濡れやカビの有無をチェックします。異常があれば、その場で写真を撮影し、記録します。 |
4 | 荷降ろし パレタイズ(貨物をパレットに積みつけて固定する梱包形態)が必要な貨物の場合は、パレットに貨物をいくつ積むか、どのように積むかの方法を最初に確認します。作業員が手作業またはフォークリフトを使用して貨物を慎重に降ろします。 |
5 | コンテナ内の清掃 荷降ろし後、コンテナ内部を掃除し、次の使用に備えます。 |
デバンニングの課題点
デバンニングは海外からの輸入などで必須になる作業ですが、いくつかの課題もあります。以下に挙げる3つの課題は、効率的で安全なデバンニング作業を実現する上で特に注意すべき点なので、ぜひ把握しておきましょう。
作業環境が過酷になる
物流におけるデバンニング作業は、その性質上、作業環境が過酷になりやすいです。
特に、重量物の取り扱い、限られたスペースでの作業、季節による温度の変動などが、労働者にとって大きな負担となります。これらの条件下での作業は、注意力の散漫や身体的な疲労を引き起こし、事故のリスクを高める要因になります。たとえば、フォークリフトの操作ミスによる貨物の転倒や、滑りやすい床での転倒などが考えられます。また、夏場は、熱中症リスクにも注意しなければなりません。
過酷な作業環境と事故リスクを軽減するためには、作業プロセスの効率化、適切な休憩時間の確保、安全管理の徹底などが重要です。
作業時間が超過しやすい
デバンニング作業は、荷物の量や重さ、作業員のスキル、使用する機材の種類や配置によって作業量が大きく変動します。
経験を積んだ作業員であっても、たとえば、特定の貨物に対してダメージを避けるための追加の手順が必要であったり、貨物を特定の方法でパレットに積む必要があったりする場合は、作業時間が延びることがあります。さらに、作業者の疲労や機械のトラブルも作業時間の延長に影響します。
作業時間の超過は、ドレー会社との契約違反による遅延金の発生や、全体の物流プロセスに遅れを生じさせる原因となり得ます。
商品の破損リスクがある
デバンニング作業では、コンテナやトラックから貨物を降ろし、分類するために多くの物理的な操作が必要です。特に、手作業による荷降ろしや、フォークリフトなどの機械を使用した際には、貨物への衝撃や圧力が加わりやすく、破損や損傷のリスクが高まります。
加えて、梱包が不適切であったり、荷物が過積載されていたりする場合、コンテナ内での移動中に貨物同士がぶつかり合い、損傷する可能性があります。商品の破損は、修理や交換にかかるコストの増加だけでなく、顧客満足度の低下や信頼性の損失にもつながります。
効率的で安全なデバンニングのポイント
デバンニング作業は、物流業界において欠かせないプロセスですが、効率化と安全性の向上は継続的に取り組むべき課題です。
以下に挙げる3つのポイントは、作業の効率を高めると同時に、従業員の安全を確保するために重要なので、ぜひ参考にしてください。
作業環境と作業人数の適正化
効率的で安全なデバンニングを実現するには、作業環境と作業人数の適正化が重要です。
まず、作業環境を改善するためには、ヘルメット、安全靴、作業着など、安全装備の着用を徹底することが基本です。さらに、作業場の安全性を高めるための物理的な改善にも取り組みましょう。たとえばコンテナスロープの導入により、荷物の移動をスムーズにし、事故や商品の破損リスクを軽減させられます。また、夏場には熱中症対策として冷却装置を設置し、作業員の健康管理に努めることも大切です。
作業人数に関しては、デバンニング作業においては適切な人数の配置が必要になります。人数が少なすぎると作業効率が落ちるだけでなく、けがのリスクが高まる可能性があります。反対に、必要以上に多い人数で作業を行っても、作業員が余ってしまい、作業現場での混乱や効率の低下を招きかねません。一般的に、通常の作業であれば2~3人、特殊な作業が必要な場合や作業件数が多い場合は4~5人が目安とされます。
デバンニング用のロボットを導入する
ロボット技術を活用することで、コンテナからの荷物の自動降ろしが可能となり、人手による作業の負担を大幅に軽減できます。たとえば、ある種のデバンニング用ロボットは、さまざまなサイズの貨物を自動で識別し、高速で処理する能力を持っています。1時間あたりに数百個もの貨物を扱うことができるため、作業効率の向上に大きく貢献します。
さらに、ロボットを用いることで、作業中の事故やけがのリスクを低減させることが可能です。重い貨物を扱う際の身体への負担が減少し、作業環境も改善されます。人手不足が課題となっている現在、労働力を効果的に補完する手段としてもロボットの導入は有効です。
一方で、ロボットの導入には、初期投資や維持管理のコスト、運用における専門知識が必要となります。定期的なメンテナンスやトラブルシューティングを行うためには、技術的なサポート体制を整えることが重要です。
物流業務をアウトソーシングする
デバンニングには、重量物の取り扱いや繰り返しの物理的作業、高温下での作業など、従業員に対する高い負荷が伴います。
専門のアウトソーシング業者は、デバンニング作業に必要な専門知識や経験、設備を有しており、作業の効率化を図ることが可能です。また、デバンニングだけでなく、商品の保管、仕分け、梱包といった追加サービスも提供しているケースが多く、一貫した物流サービスを任せられます。企業は人員の確保や作業スペースの問題から解放され、コアビジネスに集中することが可能になるでしょう。
まとめ
バンニングとデバンニングは、荷物の輸送における基本的かつ不可欠な作業です。
デバンニングや、物流全般のアウトソーシングは、作業中の事故やけがのリスクを軽減するという点でも利点があります。専門業者は安全基準を満たした作業環境を提供し、作業員に適切な訓練を施しています。こうした専門的な対応は、自社で同等の環境を整えることの難しさを考えると、アウトソーシングの大きなメリットと言えるでしょう。
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