WMSとは、日本語で言うところの「倉庫管理システム」を指し「Warehouse Management System」の頭文字を取った略語です。WMSによって倉庫内の情報を一元管理すれば、業務効率化・標準化にくわえてコスト削減などを実現できます。
ただし、WMSそのものの導入コストがかかる点や、システムを活用するために教育体制の整備が必要になるため、導入前によく検討することが大切です。
当記事では、WMSの仕組みや具体的な機能のほか、WMSを導入するメリット・デメリットなどについて解説します。
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WMSとは?倉庫管理システムの仕組みや物流業務へのメリット
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2023.12.14
目次
WMSとは?
WMSとは「Warehouse Management System」の略称で、日本語に翻訳すると「倉庫管理システム」です。倉庫に入庫した商品が出荷されるまでの情報管理を行うWMSは、管理作業の正確化・迅速化を目的としています。WMSによって倉庫内の情報を一元管理することで、業務効率が向上し、コスト削減が期待できます。
WMSの具体的な機能は、商品の入出庫管理、ピッキング・梱包作業の可視化、帳票作成などです。庫内物流の細やかな部分までフォローできるため、製造業・小売り業・卸売業・EC通販など、さまざまな企業で導入されています。
WMSはどのような仕組み?
WMSは、携帯端末(ハンディターミナル)といった読み取り機器で商品情報をスキャンし、倉庫内の情報を管理します。以下は、WMSによって情報を管理する手順です。
1 | 携帯端末で商品コードを読み取る |
2 | 読み取った商品情報をデータベース化する |
3 | データを参照し、検品・ピッキング・出荷作業などを行う |
WMSを導入するとリアルタイムに在庫情報を管理でき、入荷・流通加工・帳票類の発行・出荷・棚卸し業務など多くの場面で業務効率化が図れます。
WMSの機能
WMSには、以下のような機能が搭載されています。
- 入荷管理
- 検品、仕分け管理
- 在庫状況の管理
- ロケーション管理
- 出荷管理
- 請求管理
- 棚卸管理
- 各種帳票作成
- 設備、資材の管理
仕入れた商品の入荷管理は、物流において重要な作業です。WMSは、実際の入荷量と予定量とを照らし合わせて、数量や使用期限・賞味期限をデータ化し、倉庫に保管する作業をサポートしてくれます。
在庫管理やロケーション管理は情報が細かく、商品の数が増えるほど煩雑になります。WMSを導入すると、どこに何がどのくらい保管されているか、正確に把握することが可能です。
WMSの出荷管理は、出荷指示に基づいた検品・流通加工・梱包・出荷・伝票出力など、手順の多い作業を正確に行える便利な機能です。商品の間違いや誤出荷は深刻なクレームにつながるため、WMSはミスを防ぐ役割も果たしています。
WMSは大きく分けて3種類ある
WMSの提供スタイルには「クラウド型」「オンプレミス型」「パッケージ型」の3種類があります。以下は、それぞれのタイプの特徴を解説した表です。
WMSの種類 | 特徴 |
クラウド型 | オンライン上でクラウドシステムを用いて管理するタイプです。あらかじめ準備された環境を使うため導入しやすく、初期費用が抑えられるメリットがあります。 |
オンプレミス型 | 自社サーバーにシステム構築し、運用・保守管理するのがオンプレミス型WMSです。自社の管理状況に合わせて自由にカスタマイズできるため、最適な環境でシステムを運用できます。 |
パッケージ型 | あらかじめ用意されたパッケージを、サーバーにインストールして使用するタイプです。管理する倉庫の規模に合わせて、仕様や価格帯を選択できます。 |
導入費用やランニングコスト、システムの仕様はそれぞれのタイプで異なるため、予算や機能を確認し、希望に合わせた提供スタイルを選びましょう。
WMSを導入するメリット
WMSを利用することで倉庫業務の負担が軽減し、作業効率化やコストカットを実現できる可能性が高まります。ここからは、WMSを導入する3つのメリットについて解説します。
人為的ミスを軽減
WMSは、作業員が行う業務をサポートするシステムです。人間の目では見逃しやすい情報も、WMSを利用すると間違いなく管理できます。例えば、仕入れ時にラベルをハンディターミナルでスキャンすれば、目視よりもミスを軽減可能です。
人為的ミスは完全に防ぐのが難しく、倉庫の規模が大きくなるほど発生しやすい傾向にあります。WMSは作業場のエラーが発生した場合にアラートが鳴るため、人為的ミスのリスクを軽減できます。
コスト削減
WMSによって作業の効率化や簡略化が期待できるため、導入後は人件費が削減でき、コストカットにつながる点がメリットの1つです。物流は人の手で行う仕事量が多く、人件費を抑えにくい傾向にあります。
WMSによって作業負担が軽くなれば、少ない人数で現場を動かせます。また、ミスやトラブルの解決に費やしていた時間も減るため、作業がスムーズに進み、時間のロスが少なくなるでしょう。
状況をリアルタイムに可視化
WMSは、倉庫の最新情報を確認できるシステムです。人の手で行う作業は、実際の状況と在庫データにタイムラグが起き、商品の正確な数量や状態を把握できません。WMSの導入により、現在のロケーション情報や作業の進捗状況がすぐに分かります。
状況をリアルタイムに可視化できると、不用な受発注を防げます。また、作業進捗や倉庫内スタッフの配置状況も確認できるため、人員配置の管理・最適化が容易です。
なお、システムによっては、ほかの倉庫や連携しているパートナー企業のリアルタイム情報を確認できます。WMSは、企業の全体像を見据えた意思決定の際にも役立つシステムです。
WMSを導入するデメリット
WMSには多くのメリットがある一方で、導入する前に準備しておくことや注意する事項があります。ここからは、WMSのデメリットや注意点について解説するため、自社の状況を考えながら導入を検討しましょう。
導入コストが発生する
WMSは作業の人件費や時間的コストを軽減できる一方で、システム導入にコストが発生します。自社サーバーを運用するオンプレミス型、自社の規模に応じて用いるパッケージ型は、導入自体に数十万から百万円が必要です。初期費用が抑えられるクラウド型も、定期的に使用料を支払う必要があり、ランニングコストがかかります。
システムを導入する場合は、長期的な展望で費用対効果を考えることが重要です。
WMSにかかわる教育やマニュアル化が必要
WMSを導入した場合、仕事のやり方が大きく変化します。従来の業務からスムーズに移行するためには、社員教育やマニュアル作成が欠かせません。システムを適切に運用できるようになれば、倉庫内業務や在庫管理業務の負担が軽減します。
教育やマニュアル作成にかかる初期コストは、長い目で見れば回収できる投資です。WMSの導入が自社の課題解決につながる場合、社員教育やマニュアルによってシステムの使用方法を周知しましょう。
期待した結果にならない可能性がある
WMSの導入目的が不明瞭な場合、期待した効果が得られない可能性があります。導入の際は、どのような課題を解決したいのか明確にすることが大切です。
WMSは提供されるシステムの種類やプラン、サポート体制などによって使える機能が異なります。あらかじめ解決したい課題を明確にしておくと、WMSに求める役割や必要な機能が把握でき、自社にぴったりのWMSを選定できます。導入前に、WMSが必要な理由と目的を整理し、システムを使いこなしましょう。
まとめ
WMS「倉庫管理システム」には、入荷管理や検品・仕分け管理のほか、ロケーション管理といった多様な機能が備わっています。WMSを導入すれば、倉庫管理にかかわる業務の効率化・標準化を目指すことが可能です。
一方でWMSの機能を使いこなすには、社員教育やマニュアル化が必要になったり、きちんと目的を持って導入しないと期待した成果が得られなかったりするケースもあります。
自社で抱えている問題を洗い出すとともに、WMSによって課題を解決できるかシミュレーションした上で、導入を検討するとよいでしょう。
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